フランス・パリ旅行(2005年1月21日から26日)

今回の旅行は近畿日本ツーリストのパリ6日間のツアーです(添乗員はつかない)。以下、特に明記しない限り、現地の人とのやり取りはフランス語で行っています。


1月21日(金)

[パリ到着]
成田発のANA便に乗って夕方にパリ・シャルルドゴール空港に到着。

[ホテルへ]
ホテルまで案内してくれる現地係員のパスカルさん、ちょっと遅刻しました。日本語を上手にしゃべるフランス人です。パリに到着して初めて気づいたが、もう一人若い女性が同じツアーに参加していました(当然、この後は別行動)。

[ホテルで最初のトラブル]
ホテルはイビス・ポルト・ド・クリシー(Ibis Porte de Clichy)。チェックインを済ませ、部屋を点検すると、ドアのチェーンが壊れている。フロントに行き修理してくれるように頼む。30分待っても誰も来ないので再びフロントに苦情申し入れ。今度はすぐに修理係が来てくれてすぐに直してくれた。

[夕飯]
夕飯は、ホテル近くのトルコ料理店でケバブ・セットを食べる。なかなかのボリュームでおいしい。

[就寝]
ホテルに帰ってから、明日会う予定のオディール(Odile)さんとの待ち合わせ時間を間違っていたことに気づく。明日の午前中はパリ半日観光なのに、オディールさんと午前10時半に約束してしまっていたのだ。部屋の電話でオディールさんの携帯に電話するがつながらない。疲れていたので、明日の朝早くもう一度電話することにして就寝。


1月22日(土)

[朝食]
今日は午前中パリ半日観光なので、早めに朝食をとるためレストランに行くと、指定のレストランは閉まっている。宿泊カードを見せて6時半から開いているはずだと抗議すると、7時からだという。もうひとつのレストランを使っていいからそっちへ行けという。釈然としないが、急いでいるので今日は別のレストランで朝食をとる。朝食はパンにチーズにハムと定番どおりだが、パンと菓子パンのレパートリーが多く、また飲み物にはコーヒーやジュースの他にショコラ・ショー(chocola chaud)もある。さすがパリだと感心する。

[ホテルで再びトラブル]
朝食後部屋に戻って身づくろいをした後、オディールに電話するがどうも通じない。ひょっとして電話が壊れているのではないかと思い、公衆電話を利用するためにロビーに行く。しかし、現金か銀行キャッシュカードしか使えない。一方、パリ半日観光の迎えが予定の時刻になっても到着しない。フロントにまずパリ半日観光の迎えのことを聞くが、知らないという(当然か)。電話についても事情を説明し電話を借りる。その間にパリ半日観光の迎えが到着。他のホテルに人を待たせているからと急かされる。オディールさんに電話がつながり、待ち合わせ時刻の変更を伝え、そそくさとパリ半日観光に出かける。

[パリ半日観光]
パリ半日観光では、ワゴン車に乗ってサクレ・クール寺院、エッフェル塔、ノートル・ダム寺院などを下車観光します。あとは、パリの中の各名所をワゴンに乗ったまま通り過ぎるだけ。同行者は、同じく近畿日本ツーリストのパリ5日間ツアー参加で同じホテルに泊まっていた若いカップルと、別のホテルに泊まっていたイギリス人カップルです。この後、オディールさんと会うために出発点のサクレ・クール寺院に戻ってくれと言ったら、そこには行けないと言われ、オペラ座付近で降ろされる。

[オディールさんと待ち合わせ]
仕方ないので、お昼ごはんはオペラ座近くのカフェでクロック・マダムとショコラ・ショーを食べる。それから歩いてオディールさんとの待合場所のダリ美術館に向かう。地図を見ながら行くが、なかなか場所がわからず約束より15分遅刻。オディールさんは小柄で細く、やさしそうなおばさん(50代?)。海洋生物の研究者(?)。フランス語で海洋生物の日本語名を聞かれるがよくわからない。フランス語教室の目黒さんから預かっていたお土産を渡し、ダリ美術館の中へ。

[ダリ美術館]
ダリらしいシュールなオブジェより、聖書や「不思議の国のアリス」を題材にした絵画(リトグラフ?)の方に惹きつけられる。ダリのまた別の魅力が見つかった思いである。オディールさんは非常に近くに住んでいるのだが、この美術館ははじめてであったようで、色々と驚くとともに、いいところを見つけたと喜んでいた。

[FNAC]
その後、オディールさんと一緒に歩いて再びオペラ・ガルニエに戻る。のどが渇いたのと歩きつかれたので、カフェに入りカフェオレを飲む。つぎにフォーラム・デ・アール近くの公園を見てから、フランス語の参考書とギリシア悲劇の希仏対訳本、それにモリエールやラシーヌの舞台映像を目当てにフォーラム・デ・アールの中にあるFNACに行く。そこでアメリのDVDが9.9ユーロと日本とは比べ物にならない低価格なので買う。また、モリエールの伝記映画なども買う。本は好みの「アンティゴネ」がなかったので「オイディプス王」の希仏対訳本とイヨネスコの「マクベス」を買う。

[夕飯]
外はすっかり暗くなり、マレー近くのあまりよく分からない店で夕食をとる。味噌汁にきのこのグラタン、デザートはヨーグルトと、派手なところもなくまずくもない食事をする。オディールさんと色々話をし、レストランを出て地下鉄の駅で別れる。

[就寝]
ホテルに帰って、シャワーを浴び、明日の計画を確認して就寝。


1月23日(日)

[朝食]
あいかわらず指定のレストランは閉まっている。宿泊カードを見せて6時半から開いているはずだと抗議すると、近畿日本ツーリストの客はみんな別のレストランのはずだと言い張ってレストランに入れてもらえない。宿泊カードを書いたのはそっちだろうと抗議しても、わからないという。仕方なく、別のレストランで朝食をとる。気分は最悪である。

[ルーブル美術館]
日曜日はほとんどのお店が休業。なので、美術館巡りが観光客の王道である。今日の目当てはもちろんルーブル美術館。かなり込み合うといううわさだったので開館時間ちょうどに行くと10人も人はいない。地図を片手に回り始めるが、広いのとやたら階段が多いために、足が疲れてくる。そんなわけで足早に駆け抜けるように見て回る。ミロのヴィーナスやモナリザは見たが、ドラクロワの絵やナポレオンの戴冠式の絵はどういうわけか見逃した。後で売店で美術館案内を見て気づいた。情けない。また、ルーブル美術館の地下のショッピング街にあったコメディ・フランセーズの売店でモリエールの「女房学校」のDVDとイヨネスコの「禿の女歌手」の朗読CDを買った。

[夏の夜の夢]
昨日オディールさんに自分は演劇を見るのが好きで、特にシェイクスピアやギリシア悲劇のような古典が好きだと言ったら、パリ・スコープでいくつか演目を紹介してくれた。実は、今回の旅行のメイン・イベントは今日から2日間に予定している観劇だったのだ。オディールさんが紹介してくれた中でよかったのが、シェイクスピアの「夏の夜の夢」。チケットはまだ取っていないので、劇場のあるムーフタールに行く。予想より遠かったものの場所はすぐに見つかった。当日の開演2時間ほど前であったにも関わらず、悪くない席が取れる。
とりあえず、劇場近くのトルコ料理店でケバブ・サンドウィッチを食べる。この芝居には、ライサンダー、ハーミア、ディミトリーアス、ヘレンといった主人公と、妖精のオーベロン、ティターニアたち、そして道化役の職人たちの3つのグループが登場する。今回の公演では、6人の役者が一人3役でこれら3つのグループを演じ分けるのである。芝居はフランス語で行われる。この芝居では、あまりキレイではないがヘレン役が非常に魅力的な道化役を演じ、逆にハーミア役がフランス人らしい、かわいく魅力的な人だった。シーシアスとヒポリタは着物のような服を着て空手らしいものを披露するなど、フランス人の喜劇センスを見た感じがした。舞台セットは背面にある縄梯子(?)くらいであった。役者はいずれも訓練がいき届いていてすばらしい舞台であった。

[コメディ・フランセーズ]
夜はコメディ・フランセーズで「ラ・フォンテーヌの寓話」を観劇。チケットは日本から予約していき、支払いは説明に従い小切手を送ったが、日本を出発する直前までまだ到着していないという。当日受付に行くと、受付嬢は事情は聞いているというが、まだ小切手は受け取っていないという。とりあえず現金で支払わないとチケットは渡せないという。小切手は後日返送してくれるという言葉を信じて仕方なく支払う。帰国後2日後付けの手紙にて小切手が返送されてくる。ストなどで遅配だったのか、小切手の処理が面倒で受け取っていないとウソをついていたのか、真相は闇の中だ。しかし、コメディ・フランセーズのウェブページでは19ユーロ以下は小切手で公演の前に払えと書いているくせに、実際にはクレジットカードで当日支払えるのだ。12ユーロの小切手の作成手数料と郵送料で4千円近く支払ったのがバカらしい。

芝居は「ラ・フォンテーヌの寓話」から十数話が舞台化されているのだが、要するに着ぐるみを着た役者がテキストを朗読するような感じで、あまりおもしろくない。午後に見た「夏の夜の夢」があまりに良すぎたせいかもしれない。もちろん、詩聖シェイクスピアの中でも指折りの傑作である「夏の夜の夢」と比較するのは酷というものだが。お昼ごはんが遅い時間だったので、この日は夕飯は抜きにした。


1月24日(月)

[朝食]
指定のレストランが開いている。宿泊カードを見せるとすんなり入れる。昨日までの苦労は一体なんだったんだろう。要するに土日はこのレストランは休みということだったのか?いや、フランスは階級社会だ、これは人種差別なのだ。日本人と同席することを嫌う人間たちがいるということなのだ。フランス革命万歳!

[再度FNACへ]

午前中、本やDVDを買うために再びFNACに行く。今度はモリエール「女房学校」、ラ・フォンテーヌ「寓話」、イヨネスコ「禿の女歌手」、ソフォクレス「アンティゴネ」の注釈書と365日・日めくり聖人カレンダーを買う。

[リュクサンブール公園]
パンテオンを通過し、レイラ(Leila)さんとの待ち合わせ場所であるリュクサンブール公園に向かう。リュクサンブール公園はすぐわかったものの、約束の正面ゲートがどこかわからない。守衛に聞いてもわからず、しらみつぶし探索。やっと会えました。20分の遅刻。目黒さんからのお土産を渡す。レイラさんは、アルジェリア系フランス人の家系ですが生粋のパリジャンヌ。長い黒髪をベレー帽の中にまとめている。小柄でややぽっちゃりしている。顔は、ジョン・レノンと暮らしていた若いころのオノ・ヨーコの目元をもっとやさしくした感じ。日本人になじみやすい顔だと思う。30代と聞いている。人当たりの良い、感じのいい人である。お昼ご飯がまだだったので、リュクサンブール公園近くのカフェでラズベリーのタルトを食べ、ショコラ・ショーを飲む。目黒さんから頼まれていたモリエール「女房学校」のVHSを受け取り代金をレイラさんに支払う。

[メイヨール美術館]
夜の観劇までの時間つぶしにレイラさんにパリを案内してもらう。エスパス・ラング東京の「初級3」講師のフランツに紹介されたチェスやバックギャモンができる素敵なカフェはちょっと遠いと断られる。また、同じくフランツが進めてくれたロダン美術館に行こうとするも、ちょうど今日が休館日だと知る。勘違いしていた。結局、レイラさんの紹介で、女性の裸体の彫刻が中心のメイヨール美術館に行く。それからレイラさんの勤務しているパリ・ミッションに行く。中国系の若い神学生たちが何かをプロジェクタで投影する美術的なイベントを開催する準備をしていた。その後は、家族へのおみやげを探すのにレイラさんに色々と店を紹介してもらう。

[ユシェット座]
いよいよ今日のメイン・イベント。ユシェット座でイヨネスコの「禿の女歌手」と「授業」を観劇する。劇場でチケットを受け取ったときにはすでにあたりは暗くなっていた。夕飯を食べる時間はなさそうである。ここでレイラさんと別れる。劇場は開演ぎりぎりまで中に入れてもらえない。かなり狭い劇場。40人くらいしか入れない。ジョルジュ・バタイユ演出「禿の女歌手」と「授業」の2つの演目を40年以上上演し続けているのは本当にすごい。「授業」の女性と役以外は役者たちは思ったより高齢の方たち。テキストはすでに読んでいたので楽しめた。「授業」の女性はフランス人女性らしくかわいくキレイ。劇場のすぐ近くのギリシャ料理店でスブラキ(焼き鳥)を食べてホテルに帰る。


1月25日(火)

[朝食]
今日も指定のレストランが開いていて、何の問題もなくそこで朝食をとる。

[オルセー美術館]
パリも今日が最終日。コンコルド広場、チュイルリー公園を抜けてオルセー美術館へ行く。ゴッホやルノワールなどの印象派の有名絵画が勢ぞろい。売店ではシャガールの挿絵が入った「ラ・フォンテーヌの寓話」を買う。お昼抜きでシャルル・ド・ゴール空港に向かう。

[帰国]
シャルル・ド・ゴール空港でちょっと遅めのお昼ご飯として、カフェでクリーム・パイとショコラ・ショーを頼む。今回初めて無愛想な店員に会う。黒人で太ったお姉さん。空港のチェックインではフランス人たちが上手に日本語で対応している。しかし、こちらはフランス語で話す。ANAのプラチナ・カードは海外ではダイヤモンド会員として通じるので、ラウンジ利用券をもらい出発までくつろぐ。いざ日本へ向けて出発。座席は、前の座席がない場所であるため、足をゆっくり伸ばせる。


1月26日(水)

午後に成田到着。これから東京に1泊して、明日函館に帰る。
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