平成20年度 プロジェクト学習中間発表会
平成20年7月11日(金)、システム情報科学実習(プロジェクト学習)の中間発表会が開催されました。 プロジェクト学習はそれぞれのテーマに対し、学生が数名から十数名でグループを組んで行うものです。 担当教員やアドバイザの教員と共に、問題提起から解決までのプロセスを実際に体験します。 ここでは全プロジェクトのうち、11のプロジェクトを紹介します。多くの方が発表に耳を傾けて、興味深いものばかりでした。 知覚デザイン
担当教員: 岡本 誠、小野 哲雄、伊藤 精英、ピトヨ ハルトノ
目標:人間の知覚機能を拡張するインタラクティブシステムを作る。そのために、人間の知覚について学び、システム実装のための技術を養い、日常の観察を通して、新しいインタラクション装置を制作することを目的とする。
このプロジェクトでは3つのグループに別れ、それぞれが違うインタラクティブシステムの発表を行いました。グループAでは、人が気付かないものを気付かせる要素として足跡に注目し、それを知覚する床であるPercipient Floorを制作しました。今後は足跡の種類を変えたり、床の環境を変えたりするそうです。グループBでは風をテーマにし、風を見ることのできるディスプレイWIND WATCHを制作しました。ディスプレイは風をイメージした表示になる予定で、今後は風の強度によって表示を変化させたり、インタラクションによる相互作用の追加を行ったりするそうです。グループCではセッションを用いた新しい知覚システムとして、リズムに注目したBody~Vibrationを制作しました。他者のとったリズムが自分にも伝わり、人数が増えれば増えるほど伝わるリズムも多くなるというもので、今後は機能面の拡張を予定しているそうです。

拡張現実インターフェイスプロジェクト
担当教員: ピトヨ ハルトノ、加藤 浩仁、三浦 守
目標:知能化・情報化された環境の中で人間の知的行動や創造力を創造させる、人間間、人間-環境、人工物-人間や人工物間のコミュニケーションを支援する様々なインタフェースの開発。
「新しい世界を作る」をコンセプトに、日ごろ私たちが生活している現実空間と映画の中で出てくるようなテレビや看板が空中に浮かんだりする空間がミックスされた世界を想像し、自分の周りを仮想のペットが走り回ったり、空中に絵や文字を描くことができる世界を実現するインタフェースの開発を目標にしていました。空中お絵かきという、Wiiコントローラーなどを用いて身の回りをキャンパスに絵を描くことができるアプリケーションの提案なども行なわれていました。

表現豊かな歌唱・発話の支援 - 認知科学とコンピューター・サイエンスの融合
担当教員: 中田 隆行、花田 光彦
目標:表現豊かな歌唱と発話を支援する既存のシステムには改善の余地があると考えられる。音ファイルまたはMIDIファイルとして記録された音楽的情報について、テンポやダイナミックスを自在に変化させたり、それらのパラメーターの変化を視覚 的にフィードバックすることによって歌による豊かな表現を促進したり、人工内耳を装用する重度の難聴の人たちの抑揚表現の(リ)ハビリテーションを支援す るソフトウエアを開発する。テンポ/ダイナミックスを歌い手や話し手が制御することの効果や視覚的フィードバックの効果は実験を行い、統計学的な処理に基づいて評価する。
医療関係者が作業を中断したことによる医療ミスを防ぐ「タスクリスト」や、「自動再来受付機を用いた院内案内」、「患者と家族をつなぐ医療情報提供システ ム」の3つのテーマを提案していました。「患者と家族をつなぐ医療情報提供システム」とは、ベッドサイドモニターと地上デジタルテレビで患者と家族をつな ぐというもので、プレゼンテーションでは実際に即興劇でその様子を再現し、わかりやすく紹介していました。患者や関係者の安心感に繋がると言うテーマでプ ロジェクトが進められていることがあり、一般の人々の興味も大きく、質問が飛び交いました。

医療のための環境再構築プロジェクト
担当教員: 美馬義亮、南部 美砂子、姜 南圭、岩田 州夫 (アドバイザ)
目標:医療にかかわる制度が大きく変わった事だけではなく、最近の情報技術の発展、通信の低価格化などの事情を踏まえると、 医療サービスを受ける側にとって、さらに自然で、使いやすく、 心地よい環境を提供できるような有効的な新提案が可能になると思われる。大病院を含む医療現場をフィールドとして調査し、提案・プロトタイプの作成までを行うという本格的なデザインの活動を一年を通じて体験する。この中で、人工物作成、システム構築、ビジュアル デザインといった専門的な技術を習得する。
情報技術によるコミュニケーションのサポートと医療環境の改善を目標に取り組んでいました。AとBのグループに分かれて活動を行なっており、Aグループからは、在宅医療空間の再構築を目指し、電子ペットを用いた心のケアシステムや在宅用電子カルテHiMeCaの提案が行なわれました。グループBは、病院におけるコミュニケーションの向上を目指し診察カードを用いた医師の説明を確認できるシステムや日々の体調を記録するシステムの提案が行なわれました。今後の展開として実用に耐える病院内や家庭内での利用を実現することを目標としておりました。

函館ルミナート-R(アール)
担当教員: 迎山 和志、木村 健一
目標:知覚システムと情報科学分野の成果を用いた新しい「光の芸術」システムを作り、函館市内または近郊で公開し、システムの評価を行う。このプロジェクトは2005年度ならびに2006年度に、未来大学のリソースを広範囲に有効に使い、夜景を観光資源とする函館市の地域貢献度も高かったため、バランスの取れたプロジェクトになった。間をおいた3度目の今回は、Revival(復活)という意味を込めて、プロジェクト末尾にRをつけた。内容としては小型のLED発光装置(バッジのようなもの)を複数個作成しそれを屋外に配置または配布することを想定している。特にエコロジーをテーマとしエネ ルギー問題の啓発を行えるようなイベントにする。
今年の函館ルミナートはエコロジーをテーマとし、ミュージアムにて中間発表を行っていました。「容易に電池でLEDを光らせずに、自分達だけで作る電力でどれだけの明かりを灯せるのか」というコンセプトで活動していました。アートイベントも行っていて様々な発電方法による二酸化炭素排出量を黒い箱の大きさの違いで提示していました。函館ルミナートでは、メッセージ性、雰囲気を大切にしているようです。

コンペティション方式による携帯電話キャリアを意識せずとも使えるケータイサービスの提案と開発
担当教員: 高橋 修, 新美 礼彦
このプロジェクトは未来大学と専修大学(経営学部)、民間企業との共同プロジェクトです。開発を未来大学が、調査を専修大学が担当し、企画を共同でプロジェクトを進めています。このプロジェクトでは街探索支援アプリケーション『呼街』を制作しています。『呼街』はチャットの内容などを読み取り自動的にユーザのニーズを推測し、それを満たす飲食店を提案・紹介する画期的なアプリケーションです。さらに『呼街』は店データベースに他のユーザの口コミ情報を蓄積することで、既存のサービスとは一味違った提案を受けることができるそうです。また、『呼街』はNTTDoCoMo、au、Softbank、WILLCOM、iPhoneのキャリアに対応しており、それぞれのインタフェースが公開されていました。
インタラクティブ広告システムの改良試作と評価
担当教員: 山本 敏雄、美馬 義亮
このプロジェクトでは昨年のプロジェクトを元に、さらに改良されたインタラクティブ広告を制作するために調査を行っていました。年齢にとらわれず、誰でも使えるものを目指してアイデア出しや意見交換などを重ね、8つのアイデアに絞り込み、そのプロトタイプの公開を行っていました。プロトタイプにはたくさんの人が集まり、実際に触れて広告を体感していました。プロトタイプのそばにはアンケート用紙が置かれており、今後はこの結果に沿って最終テーマを決定し、広告の詳細の決定やニーズ調査を行うそうです。
数学の世界を探検する
担当教員: 高村 博之、上野 嘉夫、川口 聡
毎年行われている数学プロジェクトは、「日常語と数学的表現とのギャップを可視化によってうめる」という目的にそって活動していました。活動内容として、教科書の補足を学習したり、目的であるギャップを可視化していました。可視化することによりイメージがしやすくなり、数学教育に非常に重要な箇所を行っているようです。
函館観光用ロボット制作運営プロジェクト
担当教員: 松原 仁、片桐 恭弘、柳 英克
函館活性化のために、函館の名物であるイカをモチーフとしたロボットであるIKABOを制作していました。IKABOの開発のほかに運営も行っており、これまで参加したイベントの紹介も行われました。また、プレゼンスペースには実際にIKABOが設置されており、従来の機能であるwiiリモコンを用いた操作の実演のほか、新しい機能であるよさこいのよっちょれを披露しました。IKABOの動きに、見ていた人たちは驚いている様子でした。今後は開発面にもこれまで以上に力を入れるようで、新たなインタフェースの実装をしたいと発表していました。
浮遊感・没入感を誘発する情報メディア -インタラクティブフロアディスプレイ-
担当教員: 川嶋 稔夫、柳 英克、松山 克胤
上に乗った人の動きに反応してリアルタイムアニメーションを投影することにより、浮遊感や没入感を誘発させるインタラクティブフロアディスプレイを開発・制作していました。体験者は昇降台からディスプレイ装置の上に乗り、ディスプレイの上で思い思いに腕や足などを動かし、それらの動作に反応して変化するアニメーションに驚いているようでした。アニメーションには、上空からの五稜郭などの函館の風景の映像を利用しているようでした。最終的な目標は、現在のフロアディスプレイの4倍の広さのディスプレイにアニメーションを投影することです。
FUTURE-ZINE: A Futures-Oriented Virtual ‘Magazine’
担当教員: David Lindsay Wright、Michael Vallance
このプロジェクトでは、「北海道の未来」をテーマにしたニューメディア雑誌の制作を目的としています。その中で、未来三角という考えに基づき、「北海道の未来」を分析していました。未来三角とは未来思想学の分析方法の一つです。ニューメディア雑誌のコンテンツとしてMuFu計画や宇宙研究の未来など、これからの北海道の未来に関するコンテンツを紹介していました。これからの未来について考えさせられる内容で、見に来ていた学生は興味を示していました。
ページ組成担当:土門裕介 / 2007年入学





