ソーシャルスキルトレーニング

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ソーシャルスキルを得るためには

 では、どのようにしてソーシャルスキルを獲得するのか。ここでは、ソーシャルスキルを獲得する方法を説明します。

 ソーシャルスキルは、運動と同じように繰り返し練習して獲得することができます。獲得する流れとして、以下のように行います[1][3]

教示

 「どうしてそんな行動をするのか」「なぜやったほうがいいのか」、ある行動によって得られることを教える作業です。その行動に関する情報や特徴を説明し、ソーシャルスキルの知識を強めます[3]


モデリング


 実際に行動をしている人や動画を見て、どこがよかったか、悪かったかを理解し学習する作業です。これを行うことで
・新しい行動パターンを習得できる
・すでに学習した反応について抑制を強めたり弱めたりする働きである
・モデルが禁じられているような行動をしても罰などのネガティブな結果が生じないとき、観察者の抑制していた行動がおこりや すくなる
といった効果が期待されます[1]

リハーサル

 教示やモデリングを行った後、日常生活にありがちな簡単な状況を設定し役割演技をします。できるだけ普段の自分のとる行動を変容させ、新しい行動を試みるよう促すために行います。新しい行動を行動レパートリーに加えたり、不安でできなかった行動をすることを意図しています[3]


フィードバック(強化)  

 教示やモデリングによって実行したソーシャルスキルを、適切な場合に強化し、不適切な場合には消去する手続きを取る作業です[1]。スキルを発達させたり改善したり、他人に話しかける練習や観察学習の可能性をふやすといった利点があります[1][3]


般化(ホームワーク)

 新しく獲得したソーシャルスキルを、実際に使ってみる作業です。
 トレーニングで獲得したスキルを身近な環境に映してみる機会を与える、ノートに書いておくなど、トレーニングしたソーシャルスキルが、日常生活でも使えるようにするために行います。一般には日常生活でも積極的に実行するように言語的教示を与えることと、一定のソーシャルスキルの実行を目標とした課題を設定し、日常場面で実行するように課題を与える作業を行います[1]


ソーシャルスキル・トレーニングはこの一連の流れを繰り返して行います。

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引用文献

 [1]相川 充(2009), 新版 人づきあいの技術 ソーシャルスキルの心理学, サイエンス社
 [2]小杉正太郎(編)(2006), ストレスと健康の心理学, 朝倉書店
 [3]橋本剛(2006), 大学生のためのソーシャルスキル, サイエンス社
 [4]田中健吾, 相川 充, 小杉正太郎(2002), ソーシャルスキルが2者間会話場面のストレス反応に与える効果に関する実験的
    検討:2者間のソーシャルスキルにおける相対的差異の影響, 社会心理学研究 第17巻 第3号 2002年, 141-149