ソーシャルスキルトレーニング

一般成人に必要なソーシャルスキル

ここでは、一般成人に必要とされているソーシャルスキルの一部を紹介します。


この表に書かれているのは、相川(1995)が発表した一般成人に必要なソーシャルスキルの一覧です[1]。自分はちゃんと使えているかどうか、ぜひ考えてみてください。

1 自分自身を表すスキル ボディメッセージを使うなど
2 報酬を与える聴き手になるスキル 自分と相手の違いを知る、尊敬と需要の態度を身につけるなど
3 話し手を助けるように反応するスキル 語句を言い換える、感情を反射させるなど
4 内気に打ち克つスキル 恥ずかしいと思いと戦うなど
5 人間関係を選択するスキル 非現実的な選択をしていることを知る、現実的な選択をするなど
6 人間関係を深めるスキル 親密の絆、気配りで絆を作るなど
7 人間関係における主張性スキル 主張的に考える、行動するなど
8 怒りを管理するスキル 思考スキル、行動スキルを使うなど
9 争いを避けて管理するスキル 思考スキル、行動スキルを使うなど

一般成人に必要なソーシャルスキル 相川(1995)

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対処の自己会話

対処の自己会話には2つの効果があります[1]

1つは、浮かび上がってくる不安を抑える鎮静効果です。「落ち着け」「大丈夫、なんとかなる」といった言葉はもちろん、否定的な思考をなくせるなら、どんな言葉でもいいです[1][2]

もう1つはコーチ効果です。「ゆっくり話せ」「相手を見ろ」まどがコーチ効果をもたらす言葉です。目の前の問題をいかに対処するか、自分の行動をコントロールするために、そういった言葉を使います[1]

こういった効果を引き起こすためにも、自分自身に言葉を投げかけてみるのもいいでしょう。

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信頼関係の形成に重要な働き

この働きには3つの機能があります。ここでは、それぞれについて説明します[1]


1.情報を得る
  相手の話を聞くことにより、相手の考えや感じていることを理解しやすくなります。相手のことだけでなく、第三者や一般的なことに関する知識なども得ることが出来ます[1]

2.相手に社会的報酬を与える
  聴くことは受け取る機能だけでなく、与える機能でもあります。相手の話を聞くことは、相手に安心感を与え、自尊心を満たし、相手の存在を肯定することに繋がります[1]

3.相手との関係を安定させる
  相手の話をしっかり聞くことで、その人のことを良く知ることができ、好感度が増えていきます。そのため、相手との関係が安定するようになります[1]

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受容的な考えとは

聴くスキルで用いられる、受容的な考えの主な5つを紹介します[1]


・話を途中で遮らない 
  「興味ない」「僕には関係ない」といったものはNG。相手への助言や批判は、聞き終わってから行いましょう[1]

・話題を変えない
  自分の興味のあるものなどは、相手の話が一区切りついてからしましょう[1]

・道徳的判断や倫理的非難を途中でしない
  相手はどう思っているか、どう感じたか意見を聞きたくて会話をしてくるでしょう。そういった場合でも、自分の考えは相手 の話が終わってから述べましょう[1]

・話し手の感情を否定しない
  安易に元気づけるのではなく、相手の感情や不安を受け入れましょう[1]

・時間の圧力をかけない
  「時間がないから」と言ったり、時計を見ながら会話をすることは極力避けましょう[1]

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引用文献

 [1]相川 充(2009), 新版 人づきあいの技術 ソーシャルスキルの心理学, サイエンス社
 [2]小杉正太郎(編)(2006), ストレスと健康の心理学, 朝倉書店
 [3]橋本剛(2006), 大学生のためのソーシャルスキル, サイエンス社
 [4]田中健吾, 相川 充, 小杉正太郎(2002), ソーシャルスキルが2者間会話場面のストレス反応に与える効果に関する実験的
    検討:2者間のソーシャルスキルにおける相対的差異の影響, 社会心理学研究 第17巻 第3号 2002年, 141-149