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生活聴力研究

概要

聴力検査では測定することはありませんが、日常生活音を利用するスキルのことを「生活聴力」と名づけて、研究を行っています。
 
例えば、唐揚げを料理していると、揚がるにつれてパチパチという音の質が変化していきます。音の変化の仕方で、できあがりの頃合いをおおよそ予測することができます。
また、天ぷら調理人は、天ぷらの揚がり音がだんだん高くなり、突然、その揚がり音のピッチが下がった時が、できあがりの頃合いであることを経験的に知っているそうです。
他にも、調理の際には多くの音を利用する状況があります。

このように、日常生活において、通常、見えることについ注意が向いているかのように考えがちですが、実は知らず知らずに音も利用しているはずです。多くの場面で、音が利用されているはずだと推測しています。人が知らず知らずに利用している音を、多くの場面で明らかにしていきたいと思っています。

研究

音の情報を利用して、自分の行動や周囲で起きているできごとを探知できるかを研究しています。
 
(1) 容器の中の液体の量を音で推測できるか?
容器に液体が注がれると、容器に共鳴する音の周波数が変化するので、聞こえる音が変わります(図を参照)。ということは、変化する共鳴音から、容器に液体がどのくらい入ったかを探知できるはずです。
実際に実験してみると、かなり高い確率で、容器の中の液体の量を推定できることがわかりました。

 
 
図:容器に共鳴する周波数の変化

 
 
(2) 筒の中の顆粒の量を音で推定できるか? 
私たちはよく、茶筒を手で振って、筒の中の茶葉の量を推測するという行動をします。これは意外と当たります。では、どうして外から見えない筒の中の内容量を推測できるのでしょう。
そこで、円筒形の容器を振った時に起きる「カシャッ」という音に注目して、筒の中にどのくらいの量の顆粒が入っているかを、音から推測する、という実験を行いました。
その結果、筒の中の顆粒の量が多いか少ないかを推定できるだけでなく、筒を振る方向が縦か横かをも推定できることがわかりました。
このテーマについては、継続して研究しています。
 
※現時点までの研究成果は、[国際生態心理学会の発表論文]をご覧ください。