READ研究会in函館「障害と経済の協演」 2008年8月29日 「働くこと」をめぐって ――障害女性の聞き取り調査を中心に 共同報告:臼井久実子・瀬山紀子 東京大学大学院経済学研究科READ特任研究員 目次 1 課題意識と報告の目的 3 2 障害者と「働くこと」 3 2-1 障害者がおかれた状況と政策の枠組の概括 3 2-2 自立生活運動−社会参加の中での自立 4 2-3 仕事と働きかたの模索 4 2-4 まとめ 5 3 女性と「働くこと」(労働とジェンダー) 5 3-1 経済的ちから関係を生み出す構造の問題化 5 3-2 働いて稼ぐことのなかでの問題 5 3-3 働き方の転換とケアの共有化 6 3-4 まとめ 6 4 障害女性たちの経験 7 4-1 用いたデータ 7 4-1-1 READ 障害女性とジェンダーに関する聞き取り調査 対象者 16名 7 4-1-2 DPI 『われら自身の声』むけインタビュー 1名 7 4-2 結婚できないから手に職 7 4-3 「働き方」の問題 8 4-4 「ケアする女性」像と障害女性 9 5 障害女性がおかれている位置 10 5-1 二市の障害者の就労状況と収入の調査から 10 5-2 二市の障害者の所得と家族構成の調査から 12 5-3 厚生労働省調査を再集計した雇用統計から 13 6 おわりに 16 7 参考文献 17 図表索引 グラフ 1 仕事あり(障害者は福祉的就労を含む) 10 グラフ 2 常用雇用の仕事あり(障害者は福祉的就労を除去した数値) 11 グラフ 3 非就労の理由に「家事」をあげる人の割合 11 グラフ 4 就労による年間収入が50万円未満 11 グラフ 5 単身世帯の年間所得の平均 12 グラフ 6 労働時間 14 グラフ 7 雇用身分 14 グラフ 8 平均賃金(身体障害) 15 グラフ 9 平均賃金(三障害) 15 表 1 本人の平均年間所得 12 表 2 定位家族の本人の年間所得 12 表 3 生殖家族の本人の年間所得 13 付録  簡易年表 * 労働とジェンダーについて  1981年 女性差別撤廃条約が発効  1986年 男女雇用機会均等法  1999年 男女共同参画社会基本法  2003年 労働者派遣法・業種ほぼ「自由化」 * 労働と障害について  1976年 障害者雇用促進法に納付金制度  2004年 除外率引下げ、除外職員見直し  2008年 障害者権利条約が発効  興味もあり、いちばん手に職をつけられそうだったから、社会福祉学部を選んだ。 (20代 脳性まひ 女性)  働きたいというより、それしか道がないと思った。結婚できないと思ってた。 (50代 難病 女性) 1 課題意識と報告の目的  社会的経済的格差の拡大、とりわけ、若者の失業と非正規雇用の広汎化、女性の低賃金不安定就労の常態化、そして、障害者の不安定な就労・生活状況。現在の社会に広がるこうした問題は基底でつながった問題として捉えることができるのではないか。  私たちは、こうした現在の社会状況を問題と捉え、それぞれの人が、障害の有無や性別にかかわらず、一定の安定を得て、尊厳が保障された状況で、社会と関わりながら暮らす生活を展望するために必要なことはなにか、を考える入り口の作業として、特に<働くこと>をめぐる障害者運動とフェミニズムによる考察・実践を振り返ると同時に、障害女性への聞き取りを行いながら、障害女性の経験を足がかりに、これらの問題についての考察を行ってきた。  <働く・働けない・働かない>ことに関わる問題は、働くことでお金を得ることが前提とされ、さらに、お金をもつことが生活を維持することを意味する社会にあっては、人が尊厳をもって生活ができるか、という課題と直結する問題である。  こうした問題に対して、全身性障害者たちによって担われた日本の1970年代からの障害者運動は、初期から問題提起をしてきた運動のひとつだ。また、フェミニスト経済学をはじめとする女性労働研究の分野も、性別役割分業に基づくジェンダー非対称な社会の構造や、そうした構造によってうまれる格差を問題にし、これまでの<働くこと>をめぐる制度や政策を、ジェンダーの視点から考察する研究として成立してきた。  これら二つの思想・実践は、ともに、現在の壮年の健常者男性を中心とした社会経済構造、労働のあり方や労働環境のあり方を問題化し、現状とは異なる働き方、制度、システム等を模索してきたということができる。しかし、障害者運動の思想や実践と、女性労働研究は、交差する問題意識や研究対象をもちながらも、相互の結びつきはほとんどなく、特に、障害と女性という二つの属性が複合的に重なり合う障害女性の抱える現状の問題についての考察や研究は、これまでになされてこなかったといえる。  そこで、本報告では、これまでの労働に関する障害者と女性の実践や思想、議論を振り返り、その接点を考えると同時に、障害女性の置かれている現状の位置を確認することを目的としたい。 2 障害者と「働くこと」  日本の1970年代からの障害者運動は、排除と放置、生存の否定のなかから、 <働く・働けない・働かない>といった問題をひとつの起点として、どんな重い障害や病気があっても尊厳をもって生きる権利があることを基本としてきた運動だった。 2-1 障害者がおかれた状況と政策の枠組の概括 * 「身辺自立」のうえで「職業的自立」があり、その先に「経済的自立」があるという構図 * 障害そのものの治療や身辺自立の訓練のためという理由で、病院や施設に分離、隔離 * 治療も身辺自立も困難とみなされた多数の人は、在宅放置 * 「訓練して就職へ」という狙いのもとに増設された授産施設も、就職という出口なし、滞留 * 80年代には無認可作業所が急増 * 雇用されている障害者の実数でみた雇用率は、この十数年間、1.1%前後で推移 * 一般雇用は無理とあらかじめみなされた人は、「福祉的就労」へのレールに * 「福祉的就労か、一般雇用か」の縦割・二者択一的な政策の枠組 * 労働権が基本におかれていないことによる限界 2-2 自立生活運動−社会参加の中での自立 * 1970年代、親による脳性まひ児殺し事件、及び障害児を殺した母の減刑嘆願運動が契機 * 生存権を問題とした運動展開 −「青い芝の会」は、「生産第一主義の現社会」のなかで「採算ベースにのらない」重い障害をもつ人は「本来あってはならない存在」とされていることが事件の背景にあるとして、先鋭的な問題提起を行った 「現在多くの障害者の中にあって脳性マヒ者はその重いハンディキャップの故に採算ベースにのらないとされ、殆どが生産活動に携われない状態にあります。このことは生産第一主義の現社会においては、脳性マヒ者はともすれば社会の片隅におかれ人権を無視されひいては人命迄もおろそかにされることになりがちです。このような働かざる者人に非ずという社会風潮の中では私達脳性マヒ者は「本来あってはならない存在」として位置づけられるのです。 我々に生存権はないのか! 殺されるのが幸せか! 殺人を正当化して何が障害者福祉か!」 (横塚[1974→2007: 94-100] ) * 1980年代、自立生活運動の拡大、介助保障・所得保障制度の確立を求める取組へ * 自立生活運動は、障害者自身が必要なサポートをえて地域社会で暮らしていくことを模索してきた * 「健常者と同じように、健常者なみに」ではなく、社会のなかの一般的なあり方こそ見直しが必要 * 他人介助の確保と所得保障を確立することも大きな課題に * 「生活保障年金」−基本所得に通じる発想を当時からもち、所得保障制度の確立を訴えてきた * 公的機関が障害者を優先的に雇用することも提起 * 1986年、不十分ながらも、国民年金の障害者基礎年金制度がスタート 2-3 仕事と働きかたの模索 * 障害者運動は、所得保障を求めることと同時に、仕事と働き方についてもさまざまな模索 * 一般の無理がある働きかたのとらえ返し * 福祉的就労の仕事といえば下請け内職が一般的だった中で、生活できる収入をえられる仕事の模索 * さまざまな状況の人が分担してできる仕事を考え職種を拡大 * かかわる全員の所得および事業収入の集中と公正な配分の追及も一部でとりくまれた * 作業所を足がかりに、働く場を地域社会の中に求めていった。「できないこと」がある人が、必要なサポートを得て働くありかたは、一般雇用にも拡大 *  障害者自立生活センター(CIL)も、かかわる人々のディーセントワークを模索 * 障害がある当事者こそができることしてピアカウンセラーなど新しい障害者雇用を創出 * 上記のようなオルタナティブな働き方の模索と同時期に、一般雇用を開く運動も行われた * 欠格条項のように、「障害者」と一括して、あらかじめ「できないもの」とみなし、職業選択の機会も与えないとするような法制度のあり方も問題化 * 補助者、補助手段、環境の調整、合理的配慮といった課題への取り組みも行われてきている * 背景に、ADAの成立や、国連・障害者権利条約にかかわる国際的な議論がある 2-4 まとめ  障害者は、生存権の否定、慢性的・潜在的な失業と貧困、不安定な就労と生活といった、現在の日本で広汎な社会的課題になっていることについて、先験的な経験をしてきたともいえる。そのなかで、障害者の実践は、<働く・働けない・働かない>にかかわらず、人は生存権を保障される権利があることを主張し、所得保障、介助保障の必要を提起した。同時に、障害がない人が中心となっている社会のあり方や、働きかたを見直す必要があることを提起し、障害者を分離・隔離する社会のあり方を批判し、教育、労働など、社会のなかへ実質的に平等に参加する権利をさまざまなステージで求めてきた。ただ、障害がある女性といった複合的な問題に対するアクセスはまだ始まったばかりといえる。 3 女性と「働くこと」(労働とジェンダー)  ここでは、労働をめぐる問題に、障害者運動がそれを根本から問題にしたのと同様に、ジェンダーの視点から深く切り込んできたフェミニズムの議論を提示し、労働とジェンダーという問題設定からみえる課題を示してみたい。 3-1 経済的ちから関係を生み出す構造の問題化 * 市場での支払われる労働に従事していないために経済的に不安定な立場に立たされている女性が、市場の外=家庭のなかで、継続的で長時間の無償労働(アンペイド・ワーク)に従事してきた * 一方の<働き>は支払われ、一方の<働き>は支払われない * 既存の経済構造が、性役割分業を基盤とする家族と、それによって生み出される男女の経済格差を前提とし、温存させてきたことを問題化 * 経済的な面で特定の他者に依存すること、又は、せざるを得ない状況のなかで生活をすることは、構造的な経済的ちから関係を生み出しドメスティック・バイオレンスといった暴力を生み出す要因 * 経済的な生活基盤をもたないこと、もてないことは、私生活領域における自由を行使できないことと直結し、人権を疎外される恐れが生じる重大な問題だという認識は、女性と労働の問題を考える際に共通する現在に至っても変わらない問題意識の一つ 3-2 働いて稼ぐことのなかでの問題 * 市場労働の標準的労働者モデルは、一家の稼ぎ手としての男性におかれてきている * 再生産労働を母や妻にゆだねることができる男性労働者が標準−市場労働で長時間労働が一般化 * 日本の特徴−家族(世帯)を単位とした賃金体系や税制 * 日本では80年代以降、女性の労働力率が高くなったが、市場労働をする女性の多くが、パートタイム労働をはじめとする非正規の不安定雇用従事者になることを選択せざるをえない状況や、性別職務分離といわれる男女の賃金格差をもたらす就労システムがある。現在でも女性のM字型就労は基本的に変わっていない。女性が働いて自分の生活を営むだけの賃金を手にするのが困難な、男女の所得格差は、変わらず続いてきた * 女性の市場での就労が一般的になった現在においても、家庭での性別役割分業が続いていることも統計などから明らかである。男性=仕事、女性=仕事+家事労働、という男女による異なる働き方を「新性別役割分業」と名付け、問題化することも行われてきた * 現在では、非正規雇用につく男性の割合も増えていることが指摘されているが、家族賃金制度といったこれまでのジェンダーに基づく賃金格差や、正規雇用/非正規雇用による待遇の格差には、大きな変化が見られない 3-3 働き方の転換とケアの共有化  90年代以降、非正規不安定雇用・就労の問題は、女性に限定されない広汎な問題として、社会のなかに定着してきている。そのなかで、雇用・就労の場における正規雇用/非正規雇用の待遇の均等化などがあらためて問題になるのと同時に、これまで、女性が担ってきた家事労働、なかでも、子育てや介護といったケアワークを、誰がどのように担うのか、ということが大きな課題として位置付けられつつある。たとえば次のような方向が検討されてきている。 * 公共社会サービス等に外部化していくという方向 * どの人も、仕事と同時に、ケアを担う権利をもつものと捉え、働き方そのものを変更していく方向 * 従来のアンペイド・ワークを労働として評価して、それを社会保障制度に組み入れていく方向 3-4 まとめ  女性の貧困や性別役割分業体制をもとにした労働のあり方は、社会経済状況が大きく変化してきたなかでも、特に、日本では、変わらない問題としてあり続けている。  ここまでで、労働についての障害者運動とフェミニズム、それぞれの実践、課題をみてきた。障害者運動のなかからは、生存権の問題、所得保障ということが課題としてあげられ、その一部は、現在の障害者年金制度によって、不十分ながらも実現してきた。同時に、障害があることを理由に門前払いを受けてきた職業への道を開いていく試みや、障害者が働き続けられる働き方の模索が行われてきた。  一方で、フェミニズムは、市場労働の外部にある家事労働をはじめとする再生産労働の多くを、女性が無償で担ってきたことと、そのことによる構造的なちから関係の解消が問題とされると同時に、市場での生産労働のみを労働ととらえずに、再生産労働や生活をトータルにとらえる労働の在り方の再考が促されてきていた。しかし、フェミニズムの考察のなかでは、再生産労働を担えないとみなされる可能性の高い障害女性の経験や、一家の稼ぎ手になることができない可能性がたかい障害男性の経験に関する問題は扱われてこなかった。 4 障害女性たちの経験  ここからは、これまでに行ってきた聞き取りデータを示しながら、障害女性に焦点を当て、彼女たちが「働くこと」をめぐって、どのような経験を重ねているのかをみていきたい。 4-1 用いたデータ 4−1−1 READ 障害女性とジェンダーに関する聞き取り調査 対象者 16名 年齢:20代 5名、40台 5名、50台 3名、不明3名 国籍:韓国8、日本7、ドイツ1 障害別:精神1、ポリオ1、全盲1、リウマチ1、難病1、脳性まひ2、肢体4、聴覚4、不明2。(重複障害を含む) 方法:対面インタビュー。聞き手の一方が聴覚障害をもっているため、一方がPCノートテイクしながら、ともにやりとりをおこなう形。ただし、韓国の8名についてはインタビューシートに書き込んでもらい、後日翻訳 趣旨目的:「障害があり、かつ、女性である」ことで経験してきたことや考えてきたことに着目し、これまでの生活、活動経験についてトータルに聞き取り 項目:活動内容・関心/契機/今後の生活、仕事、活動/プロフィール(年齢、障害名、障害歴、活動歴) 4-1-2 DPI 『われら自身の声』むけインタビュー 1名 記事は2007年にDPI日本会議発行『われら自身の声』に掲載。編集委の臼井・取材編集協力の瀬山による 4-2 結婚できないから手に職 「働くこと」をめぐって、障害女性たちはどんな経験をしてきたのか、ということを中心に、これまでのデータを読み返す作業をするなかで、私たちが聞き取りをした障害女性たちは、幼い頃から、働くことを動機づけられてきた、ということがみえてきた。以下でいくつかの語りを見てみたい。  親には、「障害があるから結婚は無理。だから、手に職を」と育てられた。だけど、「男に捨てられたときのために手に職を」ということも親の口癖で。私は、「たとえ自分が相手を捨てることはあっても、自分は捨てられない!」と反発していて、「仕事も結婚も子育てもしてやる!」って思っていた。  「結婚とか子育てはだめ」という決めつけは嫌だったけど、「自分で生きていく」という考えが育てられたのはよかったかな。そういう育て方は、ある意味障害者への差別意識の裏返しでもあるけど、「性別役割分業の考え方に縛られず、自由な発想をもてた」という意味ではすごくよかったと思っている。(50代・脳性まひ・女性)*4-1-2に該当  頭で稼ぐ仕事につけと小さいころからいわれていた。お前は結婚しないから、とはいわれなかったけど「一生食べていく仕事を頭でやれ」と。女子高校の洋裁コースと公立を受験して公立に。同期の女子で高校を出たあとに大学に行った人は2割くらい。「障害をもつ女子だ」っていうのをうーんと考えたのは、就職。浪人して、4年生大学を出て、かつ障害があって女子で就職がなかった。(50代・ポリオ・女性)  働きたいというより、それしか道がないと思った。結婚できないと思ってた。男性は私を選ばないだろうと思ってた。東京で四年生大学の法学部を卒業したときに、同級生だった女性たちも実家にかえって花嫁修業して結婚した。一人だけ弁護士になったけど。半分は、それが悔しかった。半分は、私はこれしかできない。働くしかない、自分で食うしかないと思ったのね。だから、働きたいとか、積極的に社会に出ようと思ったというよりは、その気持ちももちろんないわけじゃないけど。半々ですね。  忘れてたんですけどね、私がうまれたとき、父はこの子には大学教育を受けさせようと思ったそうです。父は、自分の障害が遺伝することを知っていて躊躇していた。母は、産みたいと思っていて、障害のこと、何も思わなかったみたい。父の考えもあって、こどものころから「私、大学にいくんだ」と思ってた。学校で、障害があってできないことがあっても、勉強ができると、一目おかれてた。  父は、私を弁護士にしたかったんですね。「女で、障害があっても、尊厳を保ってられる場所はそこしかない」「法学部を受けてくれ」それが東京の大学にいく条件だったんです。(50代・難病・女性)  「結婚する/しない/できない」ということが、自身の生き方、特に、働き方に、影響を与えることとして、家族や障害女性自身に意識されていた。  すでに見てきたように、障害者は、一方では、身辺自立、職業自立が無理とみなされ、そうした可能性がまったく想定されない生き方(施設や病院、在宅での限られた生活)を強いられ、一方では、少しでも身辺自立や職業自立の可能性があるとみなされた人は、教育や訓練を受けるというコースを歩まされるということがあった。ここでみた女性たちは、後者にあたり、早くから、「障害ゆえに結婚できない」という想定のもと、経済的自立を促されてきた存在だった。  こうした経験は、障害がない女性が、結婚し、自分以外の他者(=夫)に、経済的な依存をすることで、生活手段を確保してきたという状況を逆照射する。  ただし一方で、語りにもあったように、障害女性たちは、自分で生きていくという意識をもち、同時期の障害のない女性たちの多くが歩んだライフコースとは異なる「自由な発想」をもつことにもなった。 4-3 「働き方」の問題  では、障害女性たちは、経済的な自立をめざして「就職」、または、「手に職」をつけることで、一定の安定的な生活を確保してきたと言えるのだろうか。  CIL運動の中で、ピアカンや介助派遣が制度化され、ヘルパー事業所の運営など制度上の仕事を一杯やるようになって、みんな、しんどくなっていると思う。もともとは、障害をもった人がそのままで、障害をもって生きてきたことをキャリアにできる、「障害者だからこそできる仕事」をつくることが、CILの活動の大きな魅力だった。でも今は、事務量が半端じゃないし、働き方についても、否応なく「健常者なみ」がもとめられる。どうしたら、CILを、自分の身体にやさしい働き方ができる職場、女性障害者がありのままにいられるような職場にしていけるかが大きな課題。 (50代・脳性まひ・女性)*4-1-2に該当  卒業して、障害者を募集していたたったひとつの会社に就職、修理依頼受付係についた。私は松葉杖だから立ったり座ったりが大変なわけ。でも、書類を向こうにとりにいったり、動かしたり。電話をとりながらむこうのプリントアウトをよんだり、すごく大変で、とても疲れてた。私自身も、松葉杖以外の選択肢を考えたことがなかったから、いまのように車いすだったらもうちょっと仕事じたいも楽だったかもしれない。それで、企業のなかで障害者が働く職場環境を勉強したいという目的をだして選考をうけて、仕事を休職して1年間、留学した。  そのあと、もう一度職場にもどり、働きながら、障害者の国際交流を行う団体の事務局に関わった。そこで結婚する相手と出会って、結婚後まもなく退職。「僕が働くから、障害者運動の手伝いして」といわれて。  私の今の収入は年金だけで。やはり私の活動とか、生活スタイルは夫の所得によって支えられているから。だから、やはり自分の仕事というかたちで考えたほうが安心できるよねって。それは思う。(50代・ポリオ・女性)    (4年生大学を卒業した後)校正でアルバイトをしたり就職したりしながら、91年に、障害者雇用で昇給昇格が可能だった大手小売業に就職しました。ここだったらば、がんばれば実力を認めてもらえると思ったんですね。91年当時で、ほかの障害者雇用の枠の、ほかの会社はたいがい契約社員。社会保険はつくけども時間も9時から5時、昇格なし、二年契約、更新していく、それがほとんどです。  そこで、どう考えても障害者差別だなとしか思えないいじめにあってるんです。私のからだでできないことで、見せ付けられるということがあった。これは障害者差別なんだろうな、と。私は速く歩けないじゃないですか、ところが、上司の男性は、一緒に歩かなきゃいけないとき、わざと速く歩いていて、絶対、並んで歩かないんですよ。ほかの女性とは並んで歩く。格好がわるいから、私とは歩かないんだな、と思ったけど。そういうことをされたので、これはつまるところ、原因が何であろうと、やられているのは私が障害者だから、ということを見せ付けて、おとしめている、というふうに私は思った。それで、からだをこわして、田舎に帰ることになって。(50代・難病・女性)  上にみた三人の女性は、CILを働く場として選び、現在も働き方を模索しながらの活動を続けているという人、いったん障害者枠で一般企業に勤め、その後、一人は結婚を機に、もう一人は、職場でのいじめ等を機に仕事を辞めたという人、それぞれの経験を語った。  CILという新しい仕事の場も、現在、ヘルパー派遣の事業所として、「半端ではない事務量」を抱え、否応なく、「健常者なみ」の働きを求められる場所となっているという語りがあるように、障害者が中心となった働く場としてスタートした場も、現在では、そこでの働き方の再考が課題となっているようだ。また、一般就労として入った職場での就労は、職場環境面でのバリアもあり、継続就労が困難な状況があったという。さらに、職場での差別といった問題も、障害女性の継続就労を阻む要因となっていた。 4-4 「ケアする女性」像と障害女性  次に、子育てなどのケアを担ってきた障害女性はどのような経験をしているのかをみておきたい。  視覚障害って、一定できることがあるんですよね。努力すれば、お裁縫も。視覚障害は、「努力すればできる」が価値観になりがち。家の中で子育て、できます。でも家の外に一歩出ると、子どもと一緒に歩いてガイドさせると、「かわいそう、あんな小さな子が」と。家の中でもお母さんの面倒をみているのかしら?と思われるのが、ほんとうに悔しかった。家の中ではがんばって「お母さん」やっていても、悔しい、評価されないのがね。  「目が見えなくてもこれができる。あれができる。普通の人と同じです。」とアピールする。でもできないことがやっぱりあるからヒステリーになってしまう。ピリピリしてね。子どもの世話を必死でやってアピールしている自分…(50代・視覚障害・女性)  この語りは、子育てを経験してきた視覚障害がある女性が、自分の子育て期について語った語りの一部だ。彼女の語りは、一般に、女性は他人のケアをする存在、子育てをはじめとする家事労働を担うべき存在として位置づけられてきたなかで、必死に、「子どもの世話ができる自分」をまわりにアピールしてきた障害女性の姿を示している。家族を形成した女性は、ケア役割を担うものとされている社会のなかで、自らもケアを必要としていながら、ケア役割の担い手という役割を引き受けることが当然のこととして求められてきた。  以上、ここではまだ、ごく一部の人の経験を扱えたにすぎない。継続して聞き取り調査などで障害女性の経験を明らかにしていくことを、今後の課題としておきたい。 5 障害女性がおかれている位置  障害女性の現状、とりわけ、働くことをめぐる障害女性の現状については、把握すること自体が困難。  政府統計は、性別集計は障害別×性別のクロス集計のみ、性別に着目した分析もおこなわれていない。  以下では、「障害者生活実態調査」(2005−2006年度、東京都稲城市と静岡県富士市の二市において調査、主任研究者 勝又幸子)、「障害者雇用実態調査(2003年 厚生労働省)」の再集計版「日本の障害者雇用の現状」(障害者職業総合センター)をもとに、調査統計からみた障害女性の働くことをめぐる実情について示してみたい。  前者は「障害者がその障害の種類や程度、また年齢や世帯状況、地域の違いにかかわらず、個人が人として尊厳をもって地域社会で安心した生活がおくれるようになるために必要な支援はなにか、その支援を続けるためにはどのような制度が必要なのかを検討するための基礎データを得ること」を目的に実施、「就労・家計・生活時間の3つの分野について、一般の人々との比較を念頭において分析」されている(総合研究報告書3−4頁より抜粋引用)。性別集計を含み、ジェンダーの視点からの分析も加えていて希少な調査である。 5-1 二市の障害者の就労状況と収入の調査から データの基本特性  時期 2005年度・稲城市 2006年度・富士市  稲城+富士で159人が分析対象(身体87、知的23、精神40、重複9)、女性は67人(全体の42.1%)  調査対象者の年齢は、18歳以上−65歳未満(以下同)  対象者は、協力の承諾があった障害者手帳所持者および、社協や共同作業所の施設利用者  比較に使用した「一般」のデータは総務省「就業構造基本調査2002年実施版」  調査者 遠山真世  主任研究者 勝又幸子 グラフ 1 仕事あり(障害者は福祉的就労を含む)  総合研究報告書37頁 表5より数値を抽出し作成 仕事あり(%) 一般男性,一般女性,障害男性,障害女性 89.3 ,64.9 ,65.2 ,49.3 グラフ 2 常用雇用の仕事あり(障害者は福祉的就労を除去した数値)  総合研究報告書39頁 本文2行目および表10より数値を抽出し作成 常用雇用の仕事あり(%) 一般男性,一般女性,障害男性,障害女性 77.8 ,66.8 ,61.3 ,40.0 グラフ 3 非就労の理由に「家事」をあげる人の割合  総合研究報告書44頁 表21より数値を抽出し作成 非就労理由「家事」(%) 一般男性,一般女性,障害男性,障害女性 3.9 ,84.3 ,6.5 ,33.3 グラフ 4 就労による年間収入が50万円未満  総合研究報告書41頁・表15より数値を抽出し作成 就労年収が50万円未満(%) 一般男性,一般女性,障害男性,障害女性 1.1 ,5.6 ,35.3 ,52.2 5-2 二市の障害者の所得と家族構成の調査から データの基本特性  時期 2005年度・稲城市 2006年度・富士市  稲城+富士での実態調査から、所得収入状況が記入された中で、  極端な高額所得者を除く、203名分を使用。女性の割合は約44%。  所得には、賃金、工賃、年金、手当などが全て含まれる。  なお、障害基礎年金を受給している人は、対象のうち半数にあたる。  生殖家族が約1/2、定位家族(生まれおちた家族)が約1/4、単身世帯15%  「一般」は「全国消費実態調査2004」(総務省)による  調査者 土屋葉  主任研究者 勝又幸子 グラフ 5 単身世帯の年間所得の平均  総合研究報告書81頁・表18をもとに作成 単身世帯の年間所得(万円),,, 一般男性,一般女性,障害男性,障害女性 409.40 ,270.40 ,181.39 ,92.00 表 1 本人の平均年間所得  総合研究報告書75頁・表13から数値を抽出して作成 障害男性 219.4万円 障害女性 111.7万円  ←女性は男性の50.1% 表 2 定位家族の本人の年間所得  総合研究報告書77頁・表16から数値を抽出して作成 障害男性 108.12万円 障害女性 90.00万円 表 3 生殖家族の本人の年間所得  総合研究報告書77頁・表16から数値を抽出して作成 障害男性 342.26万円 障害女性 120.70万円  ←女性は男性の35.3%  以上で、「障害者生活実態調査」の中から特に、性別による格差に着目し抽出して見てきた。その結果、一般男性、一般女性、障害男性と比較したときに、障害女性の有業率と所得が最も低いものであること、障害者のなかでも女性がアンペイドワーク(家事)を担う傾向のあること、単身、定位家族、生殖家族いずれの生活の形においても、障害女性の経済基盤の脆弱なことがわかった。  報告は「就労にかかわるあらゆる側面で、障害の有無や性別、障害種別、障害程度が影響を及ぼしていることが明らかとなったといえる」「男性よりも女性、非重度よりも重度」という格差があることを、考察の中にあげている(総合研究報告書 遠山報告 46−47頁より抜粋引用)。また、本人収入について「男女差、障害による差が顕著にみられた」と同時に、「生殖家族に暮らす女性と定位家族に暮らす人(障害者)は、他の家族員の収入に依存する傾向が高い」(総合研究報告書89ページ)ことが、分析により明らかになっていた。  この報告書に収録されている「障害者の生活時間」は、性別集計を含んでいないが、一般に、生活時間とジェンダーは関連しており、ジェンダーの視点からみていきたい領域である。それを含めて、今後、全面的な性別クロス集計、「生活時間」と「所得」などの相互の関連の有無をみていくこと、また、「障害をもった年齢」との関係でも分析されることが待たれる。  そして、「既存の統計調査では(基礎データがなく、調査目的としていることが)解明できない」(総合研究報告書 4ページ)という指摘については、ジェンダーの視点からも同じことが言える。政府統計をはじめ、あらゆる調査統計で、ジェンダーの視点からも、調査の設計段階から検討し、性別による集計と分析をおこなうことが求められている。 5-3 厚生労働省調査を再集計した雇用統計から データの基本特性  元データは「障害者雇用実態調査」(2003年・従業員5人以上の7千事業所サンプル調査。  回答事業所の84.9%は従業員30人未満・約15%が障害者を常用雇用。厚労省)  これを再集計した障害者職業総合センター「日本の障害者雇用の現状」(略記:NIVER38)による。  常用雇用障害者のうち女性は37%。  再集計で初めて性別による集計が明らかになった。  以下では、性別と年代に着目して、身体・知的・精神の三障害の平均値を見る。 グラフ 6 労働時間  NIVER38  124頁5表、186頁2表、210頁2表より数値を抽出のうえ平均値を計算して作成 単位% 労働時間 ,,30時間以上,20-30時間,20時間未満,不明 男,29歳以下,96.9 ,0.8 ,0.2 ,2.2 ,30-49歳,87.3 ,3.1 ,0.2 ,9.4 ,50歳以上,70.2 ,10.4 ,7.6 ,14.3, 女,29歳以下,89.5 ,6.0 ,1.2 ,3.3, ,30-49歳,74.8 ,8.9 ,0.4 ,15.9, ,50歳以上,45.4 ,27.1 ,28.9 ,8.3, グラフ6のとおり、49歳以下の年代では労働時間は、性別により大差があるという状況ではない。 グラフ 7 雇用身分  NIVER38  124頁5表、186頁2表、210頁2表より数値を抽出のうえ平均値を計算して作成 単位% 雇用身分 ,29歳以下男性,30|49歳男性,50歳以上男性,29歳以下女性,30|49歳女性,50歳以上女性 正社員,60.5,67.6,66.1 ,24.5 ,59.3,36.6 準社員・嘱託,29.1,28.3,15.9 ,33.5 ,24.9,45.8 その他,10.4,4.1,18.0 ,42.0 ,15.8 ,11.1 労働時間と雇用身分とを対比してみると、障害女性の正社員率はどの年代においても障害男性より低く、とくに29歳以下は、障害男性が60.5%に対し障害女性が24.5%と著しく低い。 グラフ 8 平均賃金(身体障害)  NIVER38  124頁5表(身体障害)より数値を抽出して作成 平均賃金(身体障害)(単位 千円) 男,29歳以下,187.9,,,, ,30-49歳,280.7, ,50歳以上,292.8, 女,29歳以下,174.2 , ,30-49歳,163.9 , ,50歳以上,159.7 ,  平均賃金(平成15年11月のきまって支給する給与)をみると、身体障害女性の平均賃金は身体障害男性の賃金の73%で、男性は年齢階層が上がるに従い急増しているのに対して、女性は、逆に漸減しているという実情がみえてきた。三障害を平均すると下記のようになる。 グラフ 9 平均賃金(三障害) NIVER38  124頁5表、186頁2表、210頁2表より数値を抽出のうえ平均値を計算して作成 平均賃金(三障害) 男,29歳以下,157.5 , ,30-49歳,193.9, ,50歳以上,160.5, 女,29歳以下,151.1 , ,30-49歳,126.9 , ,50歳以上,125.7 ,  ただし注意すべきこととして、この調査は、従業員5人以上の事業所にて常用雇用で働いている人のみが対象であり、常用雇用に該当しない人や、零細事業所や、いわゆる「福祉的就労」は対象外のため、障害がある人の就労についての全般的な状況を反映したものとはいえない。 6 おわりに  すでに述べたように、障害女性の平均した有業率は低く、所得は一般の男性・女性および障害男性と比べて最も低く、他の世帯員に経済的に依存さぜるをえないために、定位家族を離れることも、自らの生活を築くだけの生活基盤をもつことも、極めて困難な状況にあることがわかった。このような、障害女性と<働くこと>をめぐる課題を明らかにする研究や調査は、日本では、まだ、ほとんどみることができない。そのため、引き続きの課題として、実態と問題の把握がこの分野における課題になる。  こうした課題を残しているものの、現時点で言えることを、以下に簡単に記しておきたい。  すでにみてきたように、障害者運動は、障害の有無にかかわらず、それぞれの人が、自分のペースにあった働き方や生き方が可能な社会、個々人が望むライフスタイルを選択できる社会を構想してきた。フェミニズムもまた、女性が、安心して、自分自身のライフスタイルを選択し、生きていくことができる雇用就労のあり方や、社会保障制度を模索してきた。  そうした方向のなかには、ライフスタイルの選択の前提となるさまざまな知識を提供する教育を保障するという課題、また、障害者運動が障害者年金というかたちで一部実現してきた所得保障を、障害者等に限定しない基本所得として構想していくという課題、また、現在に至ってもおおきな課題としてありつづける長時間労働の問題や、ジェンダーにもとづく不平等な待遇を解消していくことなどが政策的な課題として浮かび上がる。  社会的・経済的格差の拡大や失業、非正規雇用の広汎化、女性の低賃金不安定就労の常態化、そして、障害者の不安定な就労・生活状況といった、本稿のはじめに問題意識としてあげた現在の社会に広がる問題の解決の糸口を考える際に、障害者運動、及びフェミニズムのこれまでの試行錯誤は、たくさんの具体的なアイデアを提供している。そうしたこれまでの実践や研究を跡付けていく作業をしながら、特に、現在の社会のなかで不安定な立場に立たされやすい障害女性たちが一定の安定を得て、尊厳が保障された状況で、社会と関わりながら暮らす生活をどのように実現していけるのか、ということを今後も引き続き検討していきたい。 7 参考文献 勝又幸子・他2008『障害者の所得保障と自立支援施策に関する調査研究 平成17-19年度総合研究報告書・平成19年度総括研究報告書』(厚生労働省科学研究費補助金 障害保険福祉総合研究事業H17-障害-003)=略記:総合研究報告書 障害者職業総合センター2007『日本の障害者雇用の現状−平成15年度障害者雇用実態調査(厚生労働省)から−』(障害者職業総合センター資料シリーズ38)=略記:NIVER38 厚生労働省職業安定局2007『障害者の雇用の状況』厚生労働省 障害者職業総合センター1992『障害者雇用関連統計集』(障害者職業総合センター資料シリーズ4) 全国自立生活センター協議会2001『自立生活運動と障害文化 当事者からの福祉論』現代書館 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