■未来大学に風力発電!?
未来大の電力を風力発電のみでまかなえるか、また設置することに問題がないかをさまざまな視点から検証してみる。


 

 

 

 



■未来大に風力発電を設置する前に日本の風力発電の現状を知ろう!
 日本での2002年1月における風力発電の設備容量は30万kW(国内総発電量のおよそ1%)である。
 総合資源エネルギー調査会において長期エネルギー需給の見直しが行われ、2010年の達成目標は30万kWから300万kWへと上方修正も行われた。これは国内外で環境問題に対する関心が高まったことも関係している。
  京都議定書により日本は、二酸化炭素,メタン、亜酸化窒素の排出を6%削減しなければならない。そこで二酸化炭素をほとんど排出しない風力発電等に注目が集まっている。しかし、風車等がなかなか普及していないのが日本の現状である。日本のエネルギー自給率は20%程度であり、石油依存度は50%である。


■なぜ日本では風力発電は普及しないの?
  最大の理由は地理的な問題である。 日本の利用可能な地域には複雑な地形が多く、安定した発電量を維持することが難しいからである。 また、1kWhあたりの発電コストが高いことも大きな理由の一つである。経済活動を優先し市場原理に委ねていては地球環境問題を解決することは困難である。 これらの問題を解決するためには、私たちの価値基準の転換(パラダイムシフト)が必要だろう。


■風力発電にかかる諸費用 − 風車設置費用の実例 −

1.青森市鯵ケ沢:市民出資型風力発電所「あおもり市民風力発電所」: 出力1,500キロワットの風車1基で、総事業費は3億円強。総事業費の約2分の1は新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が補助。

2.北九州市若松区の響灘地区: 新日本製鉄:GEウインドエネルギー社製の発電機10基で、経済産業省からの助成で10億円、複数の銀行が共同で融資するプロジェクトファイナンスで20億円、総事業費は30億円。

3.長崎県長峰郷にある標高322メートルの横峰山頂付近:富江町など: 発電施設は2基で、総工費約3億円。新エネルギー産業技術総合開発機構(NEDO)から1億3500万円の補助。
 


■未来大で風力発電を行うメリット・デメリットって?
メリット
1.設置コストが年々下がり、経済性が上がってきたこれにより北海道内でも風力発電機を設置する町が多くなりつつある。
2.地域のシンボルともなり、「まちおこし」にもなる。風力発電をしている大学としてアピールできる。
3.原子力発電などのさまざまな危険性にくらべ安全である。
4.水力発電や火力発電のような大規模な設備も不要であり、CO2を排出することも、自然を大規模に破壊する恐れもない。また未来大学のキャンパス内なら周囲の木を伐採する必要はない。
5.100%クリーン、かつ再生可能なエネルギーであるため燃料が不要である。設置してからかかる費用はメンテナンス代くらいである。

デメリット
1.建設場所には、風況、騒音、電波障害、転倒等の制約がある。
・ 風況・・・年間風速6m/s以上が必要で、平成13年度のデータ によると年 間平均風速1.98m/sで風力発電するには厳しい。
・ 騒音・・・風車の騒音は通常風車が定格回転数で回転する風速(8m/s〜 12m/s)の中で、100mから300mの距離をおいて8方向程度で計測され、こ れらの計測値をもとに1m換算した仮想音源のレベルがカタログなどに記載さ れている。一般的に200m離れれば約46dB低くなり、 仮に104dBと記載  されている風車では、風速8m/s以上吹いている状態で58dB(104-46)程 度の騒音が発生するということになる。
・ 電波障害・・・全国でも例がほとんどないので、大丈夫だと思わる。しかし、 実際にやってみないとわかない。
・ 転倒・・・回転数を落としたり、風車の向きを変えたり出来るので問題ないと 思われる。

2.風況に左右されるため、発電量が不安定である。未来大の平成13年度のデータによると年間発電量は約59キロワットであり、年間消費電力が約203万キロワットであるため、未来大の消費電力を風力発電でまかなうことは厳しい状況にあるといる。

 

 

 

 

■未来大での平均風速・発電量

右のグラフは、平成13年度の発電量(w),平均風速(m/s)、最大風速
(m/s)をグラフ化したものです。横軸に時間、縦軸に数値を取り,各月ごとに3本のグラフがあります。3本のうち左から発電量,平均風速、最大風速となっています。時間は左から、4月,5月・・・・と続き一番右はそれぞれのデータの
平均になっています。また,年平均風速は約2m/sで、平均風速は月ごとであまりばらつきはありません。4月・10〜1月に少し風が強いのは、季節特有の気圧配置によるものと思われます。

 

■未来大の使用電力量

参考までに、未来大学での月間消費電力量を挙げる。

平成12年度
4月 92,424 5月134,976 6月132,696 7月164,952
8月169,920 9月166,128 10月132,408 11月139,464
12月155,472 1月164,424 2月157,728 3月150,696   
       合計 1,761,288
                         単位( kW )

平成13年度
4月144,408 5月147,816 6月156,216 7月171,456
8月189,816 9月168,216 10月149,928 11月176,640
12月188,928 1月193,296 2月179,808 3月166,224
       合計 2,032,752
                         単位( kW )

 
 

■未来大の電力をまかなえるか?
・未来大の平均風速は約2m/sで、この平均風速をカットイン風速とすると実際に動かすことのできる風車の定格風速はおよそ1〜1.5m/sとなります。 この定格風速で発電する発電機は数少なく、また低出力でもあります。したがって今後の技術の進歩次第ではありますが、現段階では風力発電で未来大学の電力をまかなう事は無理といえます。代わりに未来大の電力を1台の発電機でまかなうためにはどれだけの規模の発電機が必要か、そしてそのときの平均風速はどれ位のものなのかを考えてみようと思います。
・3種類の風車を考えたいと思います。定格出力はそれぞれ1000kW,1500kW,2000kWを考えます。

※発電量予測には http://www.sys.eng.shizuoka.ac.jp/~seno/yosoku.html を参考にしています。

 
 
■風力発電機の仕様と予想発電量
1.定格出力1000kWの場合
  カットイン風速2.5m/s 定格風速11.5m/s カットアウト風速23.0m/s 年間平均風速4.4m/s ロ−タ直径62m 
年間予想発電量2,046,256kW

2.定格出力1500kWの場合
  カットイン風速3.0m/s 定格風速11.1m/s カットアウト風速20.0m/s 年間平均風速3.9m/s ロ−タ直径77m 
年間予想発電量2,092,383kW

3.定格出力2000kWの場合
  カットイン風速4.0m/s 定格風速14.0m/s カットアウト風速25.0m/s 年間平均風速4.5m/s ロ−タ直径72m 
年間予想発電量2,067,546kW

 
 

■上記の風力発電機の設置費用は?
  この3つの発電機の設置費用は、設置場所の状況によって大きく変わりますが、一般的には約24 〜37 万円/kW 程度かかります。 したがって、前述した発電機を一基設置した場合,総工費は大体2.4〜4.8億円近くかかります。また設置以降もメンテナンス・セミオーバーホール・オーバーホールなど定期的に費用がかかります。 一般的にメンテナンスには1年に100〜200万円かかり、セミオーバーホールは5年に一回でギアオイル等必要な消耗品等の交換を行い1,500kW風車1基当たり200万円かかります。
  オーバーホールは一般的な風力発電機の耐用年数と考えられている約20年が経過すると、発電機の本体であるナセルを交換することが必要と予想され,数億円の追加投資が必要と思われます。 余剰電力は電力会社に売却することも可能です。

 
 
■予想景観図 − 実際に風車を設置すると・・・ −
 実際に風力発電機を設置した場合どのような景観になるのかをいろいろと考えてみました。 設置場所や台数はまだ考える必要がありますが、そんなに景観は悪くないように思われます。
皆さんはどんな感じを受けますか?






 
■考察・感想
  以上の結果より、未来大のすべての電力を風力発電でまかなうことは難しいように感じられます。
しかし、このままでいいのでしょうか?
私たちは環境団体ではありません。また、風力発電を強くすすめている訳でもありません。ただ未来大学で使用されている電力量を見ると日々の生活の中で使っているエネルギーについて考えることも必要だと思います。
 これはあくまでも「風の道を探る」と言う抽象的なテーマに観測という視点からアプローチした結果です。 私たちはこのプロジェクトを通して「観測の技術」「風力発電」「自然」など多くの知識・情報に触れ、またそれを得てきました。この経験を元に今後も私たちのまわりのエネルギーについて考えていきたいと思っています。
皆さんも環境、エネルギーについて考えてみてはどうでしょうか。


 
 
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