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プロジェクトの趣旨と概要




近年、スマートフォンと呼ばれる多機能携帯電話や電子書籍等を利用できるタッチスクリーン型のタブレットコンピュータが普及してきました。これらは、多くの人に大変使いやすいと評判ですが、一方で目の不自由な人達は、これらの機器の利便性を享受する事できません。IT機器を使いこなせる者とそうでない人たちの間の格差(デジタルデバイド)が生まれています。
目の不自由な人にとって、情報機器は生活の必需品となってきました。しかし、携帯電話やパソコンは、必ずしも視覚の障がいに配慮した製品とは言えません。
そこで私たちは、目の不自由な人達のための新しいコミュニケーションツールをデザインするプロジェクトを実施しました。しかし、このテーマを実施する上で大きな問題は、視覚を使えない状態や目の不自由な人の生活を、デザイナが知らないということです。
この問題を解決するために、「参加型デザイン手法」を用いました。これは、障がい者や高齢者、あるいは日本に居る外国人など、当事者の暮らし方を理解しにくい場合に、当事者とデザイナが恊働してデザインをすすめる手法です。これによりデザイナは、当事者の生活世界を深く理解することができます。

Exhibition in the dark(暗闇展覧会)は、このプロジェクトの成果を発表する展覧会です。会場は、暗くなっています。提案した物を見て理解するのではなく、模型を触り,作者の言葉で作品の意図を理解してください。実験的な展覧会ですが、来場者の方と一緒に何かを考える展覧会にしたいと思います。

 

このプロジェクトは、当事者とデザイナが相互理解をしやすくするために、以下のようなユニークなデザイン手法を考案しました。

a. 現状シナリオ(Problem Scenario)
視覚障がい者の体験を参加者で共有するために、現状シナリオをまとめる。

b. 暗闇ランチ(Lunch in the dark)
視覚障がい者と目隠しをした晴眼者が、イタリアンレストランで一緒にランチをしました。目を閉じて食事をすると、匂いや音や話し声にとても敏感になります。普段使わない感覚を総動員することになりました。


c.フォトダイアリ(Photo Diary)
経験した事を、インスタントカメラの写真とともにダイアリに記録する。気づきの記録と共有のために。

d. ゲームと街歩き
アイマスクを付けて、視覚障がい者と一緒にゲームをしたり街歩きをしました。道路の端に並び、前を通る車や市電の音の変化を確かめました。


e. 触れるプロトタイプとシナリオ
提案するシステムを視覚障がい者の皆さんに理解してもらうために、機器をイメージした触れるプロトタイプと機能や使い方を示した提案シナリオを作成しました。


 
 
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