研究テーマ

aamas-06

概要

大沢研究室では,人工知能基礎理論と応用,(マルチ)エージェントシステムの理論およびエージェントアーキテクチャの設計と応用,自律協調ロボット,インタフェースエージェント,感情モデルを用いたマンマシンインタラクション,複雑ネットワークからの構造情報抽出とそれに基づくナビゲーション,P2P型解放分散環境における分散計算アーキテクチャ,AI技術を用いた高機能検索エンジンの設計,そしてサイバーシティおよび地理情報システム(GIS)の研究開発を行っています.

最近,エージェントモデルに基づくソフトウェアシステムや応用システムが様々な分野で開発されるようになってきており(これらをエージェントシステムと呼びます),それらを実現するためのエージェント技術は計算機科学やソフトウェア工学において最も期待される先端技術の一つとなっています.

エージェント技術が利用されている分野としては,プログラミング言語,自律ロボット,電子商取引,情報検索と情報管理,ワークフローおよびビジネスプロセス管理,ヒューマンコンピュータインタラクション(ヒューマンインタフェース),ユビキタスコンピューティング,仮想現実感,モバイル計算環境,社会シミュレーション,企業情報システム,高度道路交通システム,情報家電など非常に多岐に渡っています.つまり,応用分野は無数にあります.

大沢研究室の研究内容

大沢研究室 私の研究室では,エージェント理論/技術に関しては,エージェントモデルの考案と複数のエージェントによる協調問題解決機構(マルチエージェントシステム)の設計,ベイジアンネット,そしてそれらの応用システム(例えば,確率推論を用いた物語生成)の開発を行っています.また,エージェントシステムは以下のような階層技術により構成されることから,これらの各分野における新技法/機構の開発も研究の対象となっています.

  1. エージェント間通信に用いられる共通語彙・概念
  2. エージェント通信言語
  3. エージェントプログラミング言語およびその実行環境(プラットフォーム)
  4. エージェント間協調スキーマ
  5. 実世界とのインタラクション

特に,(4),(5)に関しては,現在未来大学で行っている研究プロジェクトの一つである「実世界分散協調マルチロボットシステム」への応用と,もう一つの研究プロジェクト「サイバーシティ」への応用を狙っています.また,ユビキタス計算環境を支援するためのマルチエージェントプラットフォームの研究を開始しました.

さらに,「サイバーシティ」とはモバイル端末を用い,現実の街の中でユーザが移動しながら情報の検索・取得・更新などを行うための情報環境で,今後の情報技術の発展のためには欠かせない情報基盤の枠組みです.エージェントは,サイバーシティの中でユーザを支援するためのソフトウェア技術となると考えています.さらに,サイバーシティ実現のためには地図情報が不可欠であることから,現在,大学院の学生を中心にG-XMLを基礎とした地図情報システムの基盤システムおよび応用システムの開発を推進しています.

また,多数のエージェントが存在するマルチエージェントに関しては,最近は大規模マルチエージェントシステム(Massively MultiAgent System)を対象として,エージェントに社会特性を導入することにより,局所的な情報に基づいて大局的な安定性や効率性を得るための手法に関する研究を行っています.このような基礎研究は,開放型分散システムを効率良く運用するための分散計算資源管理のメカニズムに応用することが出来,現在は,P2Pネットワークやネットワークゲームシステムを対象として,それらを効率よく運用するための分散メカニズムに関して研究しています.

上記のような先端的ではあるが複雑になりがちなシステムの見通しをよくするためには,ユーザインタフェースの技術は欠かせません.これに関しては、私の研究室では感情や社会性を有し,人間と円滑にコミュニケーションがとれるインタフェースエージェントの研究開発を行っています.

最後に,ここ数年は,WWWやWikipediaなどの大規模ネットワークを複雑ネットワークと見なした分析を行い,そこから階層情報やコミュニティなどの構造情報を抽出・同定し,それに基づいたナビゲーション支援システムの研究を行っています.複雑ネットワーク的な視点は,大規模システムへのアプローチとして有効であり,現在は言語グリッドなどにおける言語資源を活用し,自然言語処理における困難な問題である文脈同定や多義性解消などに関して複雑ネットワーク的な視点からアプローチする研究も開始しています.