記憶のメインイベント
記憶のメインイベントは、ツタンカーメン展とミロのヴィ−ナス展。幼い頃、歴史上の美術作品を間近に見るという事は大事件であった。美術館を取り巻く群集の中で、数時間後に訪れるその瞬間の訳もわからず、ただときめいていた.

京都の古寺や賀茂川で平和に遊んでいた少年の新たな世界との出会いである。

鶴来町のアートフェスティバルには、幼い頃の光景がある。歴史と風俗を留める街並と新たな世界。違うのは、ここではこれが大事件ではなく現在の日常であるという事。会場にやって来ては、ポケットいっぱいにお菓子をつめて帰る子供達。この子供 達にとって、この街もこのフェスティバルも日常である。それが羨ましい。パリのピカソ美術館で、課外授業の子供達に出くわした時と同じ感覚である。

そこには、生涯の宝物・・擦り切れたツタンカーメンのグラフィクスに描いていた夢や、 彼の地でミロのヴィ−ナスと再会した時の感動・・が潜んでいる。

アートを掛け替えの無いものと押し付ける積もりはないが、この街の文化として、日常の光景として、感性を育む選択肢の一つとして、いつまでもあり続けてほしい。       


             横町うらら館 石蔵にてOMNIUM(映像作品)を出品す