ピアノ服シリーズ
光るピアノ服
楽器演奏者の多くは，自己表現やコミュニケーションのために自分の演奏を誰かに披露したいという欲求があります．そのため，コンサートやライブハウスなど固定された場所に限らず，路上や街角などでも演奏を披露します．また，パフォーマンスとして魅せるには演奏のクオリティだけでなく，演出も重要な要素の1つといえます．しかし，照明，花吹雪，視覚的にインパクトのある大型のディスプレイやプロジェクタを用いた映像投影などによる既存の演出には据え置きの機器が必要であり，特定の場所でしか使えませんでした．そこで，この問題を解決するために，ファッションとLEDに着目し演奏に同期して人の身につけた衣服がファッショナブルに光るピアノ服を提案します．これらの衣装は，上田安子服飾専門学校 顧問 大江瑞子氏(元上田安子服飾専門学校 校長)にデザインしていただきました．
光るピアノ服は，スパイラル状にあしらわれた鍵盤(上図左から1番目)や，直線状の鍵盤(上図左から2番目)がデザインされており，さまざまな色に光るマルチカラーLEDが各鍵上に取り付けられています．このLEDは，PICマイコンにより独立して制御されており，音階が光る色に，ベロシティ(音量)が光量に対応付けられています．
ボタンにLEDを埋め込み，同様に演奏と同期して光る服(上図右から2番目)も制作しました．7個のボタンは，それぞれ異なる色で光り，上のボタンから順にハ長調の音階(ド，レ，ミ，ファ…シ)に反応するように設計されています．また，このボタンはスイッチも埋め込まれており，ボタンを押すと割り当てられた音を発音することもできます．
着るピアノ
山野楽器のロールピアノをワンピースに取り付けた着るピアノを提案しました．よりパフォーマンスを引き立てるために，ピアノ演奏のとき技術が最も見られる手に視線が集まると考え，手先を彩る光る爪を同時に制作しました．
これらのピアノ服は，御堂筋パレードをはじめとするさまざまな展示会やイベントにて披露し，新聞やテレビなどでも取材を受け注目を集めました．光る爪は，ダンスグループDETROIT JAXXにも活用してもらっています．
代表的な関連文献
竹川佳成, 宮前雅一, 岸野泰恵, 塚本昌彦, 大江瑞子, 西尾章治郎, ``着るピアノ : 鍵盤楽器と連携したウェアラブルファッション,'' エンターテインメントコンピューティング2005論文集, pp. 59--63 (2005年9月).PDF