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2020-02-17

陰ながら学生を支える、後援会の取り組み
課外活動から福利厚生、就職活動まで、幅広くサポート

在校生の保護者を中心に組織される「公立はこだて未来大学後援会」。学生が充実した大学生活を送れるよう、さまざまなサポートをしています。高校までのPTA活動と違い表立った活動をしていないため、もしかしたら大学に後援会組織があることを知らない学生もいるかもしれません。けれども、後援会のおかげで成り立っている事業や行事があるのも事実。今回のFUNBOXは、後援会にスポットを当て、取り組みを詳しくご紹介しましょう。

後援会は保護者を中心に約1200世帯で構成する組織

公立はこだて未来大学(以下、未来大)の後援会は「学生の福利厚生の推進と課外活動の振興に必要な協力を行い、教育目標の達成に寄与すること」を目的として、開学当初の2000(平成12)年に設立されました。
会員は「本学に在籍する学生の保護者または保証人」で、約1200世帯で構成されています。2017年から後援会の会長を務めるのは、函館市内で寿司店を営む金谷光治さん。後援会の活動について教えていただくため、お店を訪ねました。

これまでPTAの役員経験もないのですが、大学の事務局から後援会の役員を頼まれ、地元におりますし、私でよければと会長を引き受けました。商売柄、カウンター越しにお客さんと会話するのは好きですが、大勢の人の前に立って話をするのは慣れていないので緊張しますね。事務局に助けられながら、勉強させてもらっています。

もちろん金谷さんも学生の保護者の一人。息子さんが複雑系コースに在籍しています。

20年前の開学時、まだ幼稚園児だった息子を連れて未来大に見学に行ったことがあります。見晴らしのいい高台にある素晴らしい建築に圧倒されました。最先端の情報科学を学べる公立の大学ですから「大きくなったらここで勉強するんだよ」と言ったのを記憶しています。念願かなって息子が入学してくれたので、非常にうれしかったですね。

後援会会長の金谷光治さん
「公立はこだて未来大学後援会」会長の金谷光治さん

開学時の見学会で感じた先進的な大学の印象は今も変わらないそうです。息子さんの入学後、久しぶりに校舎に入った金谷さんが、IKABO(イカボ)など巨大なロボットの展示を見て「研究所みたいだ」と驚くと、息子さんに「大学は研究するところだから」と笑われのだとか。幼稚園児だったお子さんの成長をきっと頼もしく感じたことでしょう。

学生の課外活動を幅広くサポート

後援会の活動には大きく分けて3つあると金谷さんはいいます。「課外活動の支援」「福利厚生に関する事業」「就職活動の支援」です。
一つ目の課外活動の支援で筆頭に挙がるのはサークル活動への支援。未来大には野球やバスケットボールなどの体育会系から、音楽やプログラミングなどの文化系まで、56の公認サークルがあり、その活動に対し、補助金を支給しています。ちなみに、補助金の配分は学生が組織するサークル運営協議会が中心となって決めているそうです。
また、毎年7月の球技大会では必要機材や優勝景品の経費を支援。毎年10月の「未来祭」でも実行委員会に対して補助金を支給しています。

実は、後援会では学内で実施されるものだけではなく、地域イベントへの参加も支援しています。函館では毎年8月に「港まつり」という大きなイベントがあり、花火大会や「ワッショイはこだて」というパレードが行われます。未来大の学生は自らデザインしたTシャツで「函館いか踊り」を踊ったり、IKABO(イカボ)を引き連れて練り歩いたりして参加します。その際のTシャツ制作費やIKABO(イカボ)の運行費なども後援会で支援しています。

サークル活動ステージで歌う学生

未来祭ステージに並ぶ学生たち
函館での学生生活を充実した時間にして欲しいと、サークル活動や「未来祭」へも補助金でサポート

通学や食事など、福利厚生もバックアップ

二つ目の「福利厚生に関する事業」で代表的なものが、冬期臨時バスの運行です。
大学から多くの学生が住んでいる美原方面行きの路線バスは21時過ぎが最終便。そこで、冬期間は校舎が閉まる22時に大学を出発し、五稜郭方面まで向かうチャーター便を後援会費で走らせています。というのも、毎年12月~翌2月までの冬期は、プロジェクト学習の成果発表会、定期試験、卒業研究発表会など、学生が最も忙しい時期。夜遅くまで研究に没頭したり、グループのディスカッションが長引いたりすることも少なくありません。冬期臨時バスは学生が存分に勉強できる環境づくりに役立っています。

五稜郭行きシャトルバス
学業が忙しい冬期間の交通環境の整備は未来大生にはとてもありがたい支援

昨年度から始めた新規の事業もあるんです。一人暮らしで食事がおろそかになっている学生も多いことから、「後援会DAY」と名づけて、学食を利用する学生に毎月1度、お総菜やデザートなど一品を無料で提供する企画です。ひじき、カボチャの煮物、ほうれん草のおひたし、おからのサラダ、そのほか、シュークリーム、プリンのデザートまで、内容はさまざまです。毎回500名が喜んで食べていると聞いています。これは、一人暮らしで不足がちな、ミネラル分や緑黄色野菜である物を提供することで、健康に気をつけて学生生活を送ってもらいたいという思いからスタートした事業です。

ひじき煮無料提供のポスター

ひじき煮を持って笑顔の女子学生たち
一人暮らしが少なくない学生にも、保護者にもうれしい「後援会DAY」

後援会活動の課題とは?

三つ目の「就職活動の支援」として主なものは、学外で行われる合同企業セミナー「FUNキャリ」です。これは毎年12月、採用実績のある企業を中心に約130社を学内に招いて行う業界説明会。企業がそれぞれのブースで、業界の動向や職種、業務内容などをガイダンスします。後援会からは会場設営関係経費、参加企業情報の収集、公開経費などを支出しています。学部3年生を中心に多くの学生が参加し、このセミナーをきっかけに志望企業を決めたり、その後の採用につながったケースも多く、大学生活の大きな山場にも後援会の存在がありました。

各企業ブースを訪問する学生
学生にとって未来を決める「就職活動」にも後援会の存在が

さて、さまざまな催しや活動に後援会の貢献があると理解できましたが、これらの財源はどうしているのでしょう。

入学時に納入していただいた後援会の会費40,000円が主な財源となります。毎年、年度末には「後援会ニュース」を発行して全会員に送付し、活動状況や学事イベントについてお知らせしています。会員の人数が多く、居住地もさまざまなため、皆が一堂に集まることは困難ですが、入学式に併せて後援会総会を開催し、新入生のご家族が参加しやすいように工夫しています。
これからも会員の皆さまと大学との橋渡し役として、よりよい後援会の運営に努め、学生のニーズに即した事業を検討したいと考えておりますので、ご意見などがあれば随時事務局教務課学生支援・就職担当にお寄せ願います。

いつか函館に戻ってきてくれたら

1200世帯という大所帯の後援会で会長という責任ある立場を担う金谷さん。未来大の学生に大きな期待を寄せています。

最先端の情報科学を学べる公立大学ができたことは、函館にとって大きな価値があったと思います。個人的な話で恐縮ですが、うちの息子もおかげさまで実践的な知識と技術を修得したようで、私の店のメニューなども撮影からデザインまでしてくれますし、在庫管理や経理のソフトもつくってくれました。私は入力するだけですから、非常に助かっています。未来大の学生の情報技術は、きっとどのような業種でも喜ばれるでしょう。

地域に密着した学びが未来大の特色のひとつ。情報技術を活用して、医療、交通、観光などさまざまな地域課題の解決を志向しています。そういう意味では実家のご商売も地域課題のひとつ。大学の理念がしっかりと実践されているといえそうです。インタビューの最後に、金谷さんに学生へのメッセージを伺いました。

卒業すると、首都圏や札幌の大手企業に就職する学生さんが多いようですが、なかには函館で起業している卒業生もいると聞きます。たとえ就職で函館を離れたとしても、いつかまた戻ってきて、このまちを盛り上げてくれたらうれしいですね。そのためにも函館で過ごす大学の4年間が、楽しい日々になるよう、私たちも全力で応援したいと思っています。

できることなら、子どもの健康に気を配り、食事をつくったり世話を焼いたりしたい。悔いのない充実した大学生活を送れるように、充分な支援をしてあげたいーーけれども、物理的に距離が離れていては、その願いはかないません。だからこそ、保護者の目線で学生の毎日を助けたいというのが後援会の組織です。取り組みの根底にあるのは親心だといえるかもしれません。
もしかすると学生は日々の研究と生活に夢中で、周囲のサポートに今は思いが至らないこともあるでしょう。それでも、自分たちが思いきり学べたのは、応援してくれた人がいるからだと、いつか気付く日が来るに違いありません。

ステージ上で花束を贈呈される先生
卒業式終了後、市内のホテルで行う卒業パーティーも後援会の主催。会員である保護者たちの「おめでとう」の気持ちがあふれています