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「伝える積木」で、伝わるこころ

tsumiki情報アーキテクチャ学科岡本研究室では、視覚障がいの方と一緒にデザインするために、目が見えなくとも表現できる「伝える積木(クリエイティブキット)」を開発しました。木、プラスチック、シリコンなどの素材で構成されているこれらのキットは、専用の紙テープで多様なかたちに組み上げることができます。さらに、その成果(作品)は、「見る・触れる・語る」ことにより、作者の要望や課題を共有することもできます。制作者の思いをあらためて知ったり、発見したり、デザインに必要なものが様々なかたちから伝わってきます。

同研究室では、2013年の9月に「伝える積木」を使って、視覚障がい児童・生徒さんと協働でデザインワークショップを開催。今回の展示会ではこのワークショップに参加された方とそのご家族の方たちが創った作品を、「伝える積木」とともに展示しました。洗い場だった白いタイルの空間にカラフルな作品群がよく似合っています。会期2日目、3月8日は、あいにくの吹雪模様。でも、作品を見に(触りに)多くの方が来場者してくださいました。来場者のなかには、キットを使って新しい作品を創ってくださる方も。急きょ、来場者の作品展示コーナーを設けたほどです。外は寒くても、さすが元銭湯。ぬくぬくとしたホットな空気に包まれた3日間でした。

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旧大黒湯のプロフィール

会場となった「旧大黒湯」のプロフィールをご紹介すると――。市電「大町電停」を過ぎて2つめの交差点で「姿見坂」を山側に左折すると、左手に大きな三角屋根の建物が現れます。地域住民にはなじみの深いこの建物が、「旧大黒湯」です。1923年に建築され、函館市景観登録建築物にも指定されている歴史的建造物です。大黒湯は1907年に開業、103年にもわたって営業してきましたが、2010年6月末に多くのファンに惜しまれながら廃業し、空き家となっていました。

この歴史的建造物に着目したのが、情報アーキテクチャ学科の岡本誠教授。「参加型デザインの実験の拠点として利用したい」と、2013年春に家主から借り受け、研究室のまちなか拠点としてさまざまな活用を試みています。「学生が界隈を動くことにより、まちの活性化に貢献できれば」と岡本教授。地域住民も参加していただけるような巻き込み型イベントや講演会でも活用の道が期待されています。

会津大学と考えた「新銭湯スタイル」

今回の作品展に先立ち、2013年の9月には、この“拠点”ではこだて未来大と会津大学の院生20人が参加してのenPiT夏期集中講座が開催されました。enPiTとは、全国15大学の参加による分野・地域を越えた情報技術分野の実践的教育協働ネットワーク事業です。今回の会津大とのビジネスサービスデザイン実践ワークショップのテーマは「新銭湯スタイル」。市内の銭湯などの調査に基づき、新たなサービスをデザインしてみようという試み。市内銭湯オーナーや常連さんへのインタビュー、市内銭湯や温泉での参与観察を通じて、問題発見と分析を行いました。
はこだて未来大卒業生(3期生)でもある、情報アーキテクチャ学科高度ICTコースの特任助教・木塚あゆみさんに当日の様子と学生たちの反響をうかがってみました。

――「お互い、普段あまり接することのない異なる分野、異なる地域の学生同士が同じチームで活動する。そしてテーマが“銭湯”という、学生にとってはあまり身近でないものだから、みんな既存の授業とは違った新鮮な気持ちで、熱心に授業に参加できていたんだと思います。身近な地域に潜む社会問題を発見するのに、とても良い環境だと思います」――

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古長屋を活用した「デザインベース」も稼働中

この「大黒湯デザインベース(旧大黒湯)」から歩いて5分ほど、同じ西部地区でもうひとつのデザインベースが稼働しています。1937年建築の古い長屋をリノベーション、名称は「Funデザインベース01弥生町」。情報アーキテクチャ学科の原田泰教授が、昨年春からゼミで活用しています。原田教授はここを「基地」と呼んでいます。実際に界隈を歩いてみると、発見につぐ発見!だそうで、まさに学習活動の拠点、学びのベースキャンプとも言えそうです。

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函館の西部地区は、歴史的建造物が多く残されている地区です。しかしレトロなまち並みが旅情を誘う一方で、地域住民の高齢化が進行し、空き家も目立っています。これらを借り受け、教育拠点に活用することで、まちと学びが相互に活性化していくのではないでしょうか。デザインという学習を通して地域の方と学び合う――本学が目指す学びの姿の具体像、その動向に今後も注目です。