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この春、プロ囲碁棋士に勝利したグーグルのAI「アルファ碁」、実用段階に入っている自動運転システムや医療診断、あらゆるモノがインターネットにつながるIoT(Internet of Things)など、劇的な進化を遂げる人工知能(AI=Artificial Intelligence)が私たちの生活や社会を大きく変えていきそうな予感がします。しかしその全容は深い森のようで、なかなかその全体像を見渡すことができません。そこで、情報アーキテクチャ学科の新美先生の研究室を訪ね、道案内をお願いすることにしました。

強いAI、弱いAI

_MG_0027「AIは定義が広いですからね。AIって何だろうと問われたとき、シンプルに答えるなら、人間がラクになるもの、人間を強力にサポートするもの、でしょうか。この“わかりやすいAI”は、どちらかというと“強いAI”に属します。しかし、実際の研究は“弱いAI”のほうが主流です。弱いというと誤解を招くかも知れませんが、わかりづらい、見えにくいという意味合いです。それはAI研究の裾野の広大な部分に位置しています。常に未知、未開拓の部分がAI研究の対象であり、その範囲は広大なのです」

なるほど、山は頂上だけで成り立っているのではなく、裾野があってはじめて美しい山の全体像を見せてくれる、というわけですね。それにしてもAIの裾野は深い樹海で道に迷いそうです。

「そう、この深さこそがポイントです。AIは、情報システムという広範かつ複雑に張り巡らされた社会基盤の上に成り立っているのです。迷わないように系統立てて整理するのが情報システム科学という学問であり、その分野の研究ということになりますね。未来大の面白いところは、その研究分野の多彩さです。未来大は、単一特化ではなく、多様な研究をされている先生たちが一堂に集結している点がユニークなのです」

多彩な教員陣=選択肢が多い

「未来大の教員陣は、AIを含めた情報関連の多彩な分野で活躍されている研究者たちの集合体です。他大学では大学連携で違う分野の研究者と組むことが多いのですが、未来大では学内の共同研究で他分野の先生とたちと課題にトライすることができます。同じテーマでもそれぞれの専門分野で見方が違う、それがうまく作用するんですね。教員間の距離が近い、コンタクトがとりやすい、オープンであることも研究成果に直結しています」

学生たちにとっても、教員陣の多彩さは選択肢の多さにつながります。未来大ではさまざまなAI分野が学べるということですね。

「多様な専門分野の先生がいるということは学生たちにとって大きな魅力でしょうね。さらに教員同士が近いというだけではなく、教員と学生たちの近さも未来大ならでは、ですね。人と人が近い、そういうオープンな研究環境に学生が入りやすいというのは確かにありますね」

未来大で触れるAIとは?

具体的な講義名、先生たちのAI関連の研究テーマなど、未来大で触れることのできるAIについて教えていただけますか?

「学内のメインストリート、モールを歩いてみましょうか。この春完成したイカ型ロボット『IKABO11号機』に出会えますよ。感情認識ヒューマノイドロボット『Pepper』もいますね。大講義室では複雑系知能学科イアン・フランク先生の『AIプログラミングⅡ』の講義が始まっています。

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AI関連の座学ではほかに、『人工知能基礎』『人工知能とメディア』『AIプログラミングⅠ』などがありますね。AIをキーワードに研究されている先生も多彩です。たとえば絵画をAIで創り出すという研究でいえば、情報アーキテクチャ学科の美馬義亮先生、迎山和司先生。複雑系知能学科の鈴木恵二先生は、自律飛行船の開発、ロボット分野に関する研究。そうそう第一人者は、メディアにもよく登場している松原仁先生…続きは情報ライブラリー(図書館)で探してみるといいですよ。たくさんの先生たちが書かれた著作が書架に並んでいます」

情報ライブラリーで出会ったAI関連本

情報ライブラリーの前で新美先生と別れ、先生たちのAI関連本を探してみました。そのほんの一部をピックアップしてご紹介します。書架を行きつ戻りつ読みたい本に迷うのもまたよし。未来大に広がるAIの森は、心地よい知の静けさに包まれていました。

グランドチャレンジ■グランドチャレンジ―人工知能の大いなる挑戦
共立出版(1993)/大澤英一ほか共著
日本の人工知能界の精鋭がワークショップで一堂に会し、人工知能の大いなる挑戦について議論した歴史的会議の記録。

 

 

遺伝アルゴリズム■遺伝アルゴリズムの理論:自然・人工システムにおける適応
本質的な並列プロセスについて広範囲の研究を展開し、適応プロセス全体について仮説とアルゴリズムの利用手法を明示。
森北出版(1999)/鈴木恵二ほか共著

 

 

社会知デザイン■社会知デザイン
社会知の計測・分析手法と人工物によって人間の社会知を強化する技術開発を総合して、社会知のデザインという視点から捉えるアプローチについて述べる。
オーム社(2009)/角康之ほか共著、人工知能学会編

 

 

データマイニング■データマイニングと集合知―基礎からWeb,ソーシャルメディアまで―
データマイニングの基本概念や基本タスクとそのためのアルゴリズムをわかりやすく説明。また、ビッグデータの特徴である3つのV(大きさ・多様性・速度)を意識して、発展的な手法も合わせて説明する。
共立出版(2012)/新美礼彦ほか共著

 

 

人工知能とは■人工知能とは
人工知能研究の権威が答える! 人工知能って、いったい何? 会誌「人工知能」上での大論争を大幅加筆。今話題の深層学習(ディープラーニング)で注目されている機械学習など、人工知能分野で最先端の研究を行う研究者13人の紙面上での興味深いキャッチボールは必読必携。
近代科学社(2016)/松原仁ほか、人工知能学会監修

 

 

アルゴリズムハンドブック■遺伝アルゴリズムハンドブック
遺伝アルゴリズム(GA)は、自然進化に見られるプロセスを模倣して構築されたアルゴリズムである。本書は、前半を第1部:遺伝アルゴリズムチュートリアルとし、GAの基本的な考え方を丁寧に解説し、後半を第2部:応用事例研究とし、さまざまな分野における実際問題に対する適用について詳しく記述した。
森北出版(1994)/L.デービス編;三上貞芳ほか共訳

 

今回のFunBoxはAIに特化して未来大を眺めてみました。これから10年後、20年後、私たちの生活や仕事はAIなくしては成り立たないでしょう。AIの深い森の入り口で感じたのは、AIとコミュニケーションできる能力をいかに高めていくか、ということ。エキサイティングな未来はもう始まっているのですから。さて、あなただったら、ここからどんな“未来”を見つけ、歩いてみますか?

 

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