「メタ学習ラボ」とは、どんなところ?

未来大の多様な学習環境の中でも、とりわけユニークで画期的な「メタ学習ラボ」(メタラボ)という学習支援の取り組みがあります。これは、成績などの要件を満たした学生が専門的な研修を受けて指導役=チューターとなり、授業で学習する内容(学部1~2年生の内容を意識)につまずいて困っている学生(チューティ)に「学習の方法」を個人指導するもの。ここで注目したいのは、チューターは目前の問題の答えや解き方を単に教えるのではなく、他の問題・学習についても応用可能な「学ぶチカラ」を育むよう指導している点です。

DSC_6436和気あいあいとしつつも、真剣なまなざして進むチュータリング。1対1で、学ぶチカラと伝えるチカラを育む

未来大の学生が習得すべき基礎となる知識とスキルには「プログラミング」「デザイン」「数学」「リテラシ※」「英語」の5つがあります(※この場合のリテラシとは、論理的な文章を作成・読解するために必要な日本語能力)。ところが、新入生の学習状況を見ると、その習得がスムーズに行われていないことが分かりました。「大学での新しい学び方に対処できていない」、「大学での学び方を習得するための支援の仕組みがない」といったことがその要因として考えられました。そこで1年生を対象にアンケートを実施したところ、80%強の学生が授業外に学習支援サービスがあれば利用したいと回答。こうして2012年に「メタ学習ラボ」がスタートしました。この新たな試みを教職員と学生が協同して、試行錯誤しながら良いものに築きあげていこうという思いを込めて研究室=「ラボ」と名付けました。

現在メタラボに在籍しているのは、学部2年~大学院博士課程2年までの18人。チューターたちはメタラボに質問を持って訪れるチューティへの学習支援を行うチュータリング業務、メタラボの運営、チューター研修のほかに、チューターの自主企画による集中セッション(勉強会)も年に数回開催しています。そして「メタ学習センター」所属の教職員がラボの活動統括、監督などに携わり、サポートしています。

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12月19日から4日間開催された集中セッション。今回のテーマは「フレームワークでWebページ制作に挑戦」。HTML、デザインの知識からフレームワークを使用したWebページ制作までを学んだ。こうしたチューター企画の集中セッションは年に2回程度行われており、メタ学習ラボの体験や有用性の認知に効果がある。今回は10人が参加した。

実際に、学習を教わるチューティとしてメタラボを利用した人に話を聞いてみました。知能システムを専攻する学部2年の西村南海さんは、1年生の時に5~6回ほど、メタラボを訪れたそうです。

―過去に複数回利用されたそうですね。

西村:はい、1年の時に数学を何度か教えてもらいました。今は自分で頑張って勉強しています。

―利用してみて、どういった感想を持ちましたか?

西村:チューターの人が、とても親身になって教えてくれました。それまでは自分で何が分からないのかも漠然としていたのですが、どこがわからないのかがはっきりしました。チューターは一緒になって考えてくれるんです。

―メタラボを利用して、学習能力が上がったと実感できましたか?

西村:はい、利用していなかった時より上がった気がします。授業の内容も分かるようになりました。こちらのペースに合わせて、理解できるまで丁寧に教えてくれたので。

指導を受けた結果、学習者本人が「以前より授業が理解できるようになった」と自覚でき、現在は自主的に学習に取り組んでいる。これは、予想以上の反応でした。そんな「メタ学習ラボ」に所属する学生たちは、どんなスキルを持ったチューターたちなのでしょうか?

現役チューター座談会 「学ぶチカラ」を伝える喜び

そこで、チューターとしてメタラボに在籍している4人の学生に集まってもらい、彼らがどんな思いで活動に取り組んでいるのか語ってもらいました。

永井智大さん(チューター長 情報システムコース学部4年、京都出身 チューター歴3年 プログラミング・数学・リテラシ担当)
山本一希さん(副チューター長 情報システムコース修士1年、札幌出身 チューター歴2年 プログラミング・数学・リテラシ担当)
齊藤正宏さん(知能システムコース学部2年、函館出身 チューター歴1年2カ月 プログラミング・リテラシ担当)
南部優太さん(情報システムコース学部2年、函館出身 チューター歴1年 プログラミング・数学・リテラシ担当)

―皆さんがチューターになろうと思った動機を教えてください。

永井:人に何かを教えることに興味がありました。高校の時から勉強だけではなく陸上部で後輩に指導をしていた経験や、姉が教員をしている影響もあって。

齊藤:いろんな人に出会いたいと思ったからです。学会の手伝いをした時に、一緒に仕事をした先輩にメタラボを勧められたのですが、その先輩自身が個性的で魅力のある人だった。そういう出会いを大切にしたいと思いました。

山本:最初は自分もメタラボがどんなところなのか知りませんでした。メタラボの見学会があって、友達に誘われて参加したところ、面白そうだと思いました。その時誘ってくれた友達は、現在一緒に副チューター長を務めている仲間です。

南部:誰かに勉強を教えることに興味があったからです。そして、あまり話したことのない本音の理由として「学内に居場所がほしかった」。大学は、高校までのようにクラス教室があるわけではないので、自然と仲間が集まってくる居場所がほしかった。

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永井さん(左)と齊藤さん
山本さん(左)と南部さん

「教え方を教わる」研修 チューターたちも多くを学ぶメタ学習ラボ

―具体的な活動内容のうち、週に1回の「ランチタイム研修」と半期に1度の「集中研修」があるそうですが、研修ではどんなことを行っているのですか?

永井:チュータリングの「技法」について研修を受けています。どうやって教えるか、一緒に学んでいくのかという「教え方を教わる」ものです。また、なぜこのメタラボがあるのか?という理念についても学びます。CRLA(College Reading and Learning Association)のプログラムに沿った内容で、メタ学習センターの先生方がカリキュラムを組んでくれています。

―CRLAというのは、チューター育成プログラムを国際認定している研究学会ですね。このチューター認定は、希望すればチューターの誰もが取得できるのですか?

永井:いえ、認定を受けるためには、研修時間・チュータリングを行った時間・セッション(勉強会)参加など、いくつかの項目を満たしている必要があります。誰でも取れるわけではありません。

―現在認定を受けていない人(参加者4人中2人)も、受けたいと思いますか?

2人:受けたいです。

―なるほど、活動の目標になっていいですね。チューターはそれぞれ担当科目があって、ラボに待機しているコアタイムがあるそうですが、メール予約を受けている場合以外の突発的な指導でも対応に困りませんか?

永井:チューターは自分の授業や研究に支障が出ない範囲で、週2~3回程度のコアタイムをシフトで組んでいます。その際、自分の担当科目以外は教えてはいけない決まりになっています。突発的な質問であっても、自分たちが一度経験してきている授業の内容なので、対応に困ることはありません。そして、授業の流れと連動して「この時期は質問が集中する」といったことや、同じ質問で来る人が多いなど過去のチュータリングの蓄積からチューティの傾向も分かってきています。

齊藤:突然でも困りません。ぜひ、もっと利用を!(笑)

チューティの成長が喜びに 個対個で実現する丁寧なチュータリング

―チュータリングの中で、印象的な出来事はありますか?

齊藤:ラボのあるスタジオはオープンスペースになっているので、課題を理解できたチューティが、その後友達に説明してあげている声が階下から聞こえてきました。メタラボの目的は「自律した学習者(autonomous learner)を育てる」こと。「ああ、理解したことを使ってくれている!」と嬉しかったです。

山本:僕は授業のTA(Teaching Assistant 授業や演習の学生アシスタント)もやっているのですが、プログラミングの授業で、前に指導したチューティに会いました。すると授業でもレベルアップしている様子が分かったので、嬉しかったですね。

南部:リテラシを初めてチュータリングした時に、チューティが「今日は本当に来て良かった。このまま家に帰っていたら、きっと何も進まなかったと思う」と言ってくれたことです。

永井:僕は苦い経験も。60分のチュータリングにはある程度体系化された流れがあり、最初にその日の「目標」を立てます。例えば「課題が解けない」といった場合、何が分からないかも不明瞭なところからスタートするので、分からないところを洗い出します。そして、その課題が理解できるようになったら簡単におさらいをして、類似問題を与えてチューティが自分でできるようにしなくてはいけません。ですが、過去に毎週同じような内容で来るチューティがいて、その人の真の課題を解決しきれなかったことに難しさを感じました。

齊藤:人によって理解の進み具合もまちまちなので、何度も利用してくれることは歓迎なんですけどね。

―先ほどTAの話が出ましたが、ラボでのチュータリングとTAでの指導は違いますか?

山本:意識して変えていませんが、違ってきますね。授業では40人ほどの学生を数人のTAで見るので、「平等にするように」と一人だけに時間をかけることはできません。ですから、TAでは直接的なことはあまり言わず、ヒントだけ与えて「分からなかったらまた手を挙げて」と。

社会に出ても役立つコミュニケーションスキル

―チューター同士で協力し合う、横のつながりはありますか?

永井:メタラボでは運営にも力を入れているので、協力してグループ活動を行っています。ウェブ班、設備班、広報班、デザイン班があり、自分が所属したいところに入ります。
そして、メタラボでは上下関係はないのですが、「縦のつながり」としては社会人になったOBが研修時に来てくださって、社会に出て役立っていることやチューター時代の経験などを話してくれることがありますね。

―チューターとして培ったことが、自分の学びや向上にどう結びついていますか?

齊藤:コミュニケーション能力が格段に上がりました。人の話を聞いて尊重しながら、自分の意見も出すことができる。

山本:学習方法について、自分に合っているかを考えるように。メタラボに高校生から「大学と高校との勉強の違いについて」の講演依頼が来て担当したことがあるのですが、改めて大学に入る以前の「なんとなく」の学習方法と、意識してからの学習方法では違うと思いました。今は、自分からどうやって学ぶかが分かっています。

―今後のメタラボの課題だと感じていることはありますか?

齊藤:まだ大学内でメタラボの認知度が低い。何をやっているところなのか、あまり知られていないですね。

山本:1年生にとって初めはラボのスペースに入りにくいかと思うので、もっと入りやすいオープンな環境や雰囲気づくりに取り組みたい。

永井:せっかくラボとしての経験・情報が蓄積されているのに、それを活かし切れていない。限られた時間ではあっても、ラボの中でシェアしてノウハウを伝えていきたい。

―皆さんは将来にどんな夢を描いていますか?チューターの経験が社会で役立つと思うことは?

南部:僕はまだ漠然としていますが、選択肢をより広く持ちたいと思って情報システムコースで学んでいます。

永井:僕は飛行機を作りたい。日本で飛行機の製造をしている企業は限られているのですが、あえてそこに挑戦したい。小さい頃から電車が好きだったりいろんな夢がありましたが、自分は機械系が好きなのだと思います。

山本:僕は就職活動中で、入学前からの夢である機械系のものづくりへ進みたいのですが、学んでいないことも多い。そこでメタラボで学んだ学習方法が役立つと思っています。

齊藤:ここで身に付けたことは、どこへ行っても役立つと思います。僕は将来起業したいです!

DSC_6559集まれば自然と、メタラボ運営やチュータリングについて語り合うという4人。

チューターたちの話から、メタラボの楽しさ、自ら学ぶチカラを育てることの挑戦的なおもしろさ、そして教えることは教えられることという普遍的な学びの特性が伝わってきました。未来大では、こういった新しい学びのカタチが待っています。これから未来大へやって来る高校生の皆さんも、ワクワクする学びの時間を体験し、一緒に「自律した学習者」を目指しませんか?

 

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