公立はこだて未来大学(以下・未来大)の今年のオープンキャンパス(以下・OC)は、8月5日(日)に開催します。
昨年は全国から770名の来場者がありました。高校生にとっては志望校を決める際の手がかりとなるOC。その目的や特色、有意義な1日にするコツやポイントなどを、OCを担当するワーキンググループ長の新美礼彦先生(情報アーキテクチャ学科准教授)と、事務局職員の千葉裕介さんに尋ねてみました。

新美:海外では、研究室を公開するオープンラボ、大学の講義を受けてみる体験入学、高校と大学の連携による講座など、大学の研究を発信するさまざまなイベントがあります。日本のOCは、主に入試や志望校決定のための学校説明会というニュアンスが強いのですが、本来は大学の研究や授業の内容を学外に向けてアピールする場です。未来大の「先進的な研究」や「自由な学びの環境」といった特徴は、高校生にとって志望校を考えるうえで大きな指針になると思います。また未来大は、地域への貢献が期待されている公立大学なので、高校生はもちろんですが、地域の方々にも来ていただきたいと考えています。

千葉:とはいえ、実際は高校生の参加が大半です。例年、札幌をはじめ帯広や旭川など道内主要都市から無料送迎バスを運行しているので、全道各地から参加があります。北海道新幹線が停車する新函館北斗駅からも無料送迎バスの運行があるので、青森県からの参加者も100名以上います。昨年は、首都圏はもちろん鹿児島県からの参加もあって、年々道外からの来場者が増えています。夏休みの家族旅行を兼ねて、ご家族で来場された方もいらっしゃいました。今年の入学者の約4割がOCの参加者でした。

【有意義なOCにするコツ】
その1:何をどこから見ていいのか迷ってしまうかも―そんなときには学生が学内を案内する「キャンパスツアー」がおすすめです。現役学生が実際に施設をどのように利用しているのか、裏話も交えながら紹介します。
その2:キャンパス内を巡るスタンプラリーを実施します。展示各所にスタンプポイントを設け、所定のスタンプを集めた参加者には受付でプレゼントがあります。
その3:当日は学食も営業しているので、未来大生になった気分でランチを楽しめます。



歩いてキャンパスを知るキャンパスツアーとスタンプラリー

3つの特徴と参加のポイント

OCで実施されるプログラムでは「(1)模擬授業、(2)インタラクティブ展示、(3)充実した相談コーナーの3つが未来大の特徴」と新美先生は言います。

(1)模擬授業
教員による60分の模擬授業を聴講できます(事前申込が必要)。予定しているのは6講座。高校生向けとはいえ、あまりにも平易な内容ではつまらないし、逆に高度すぎると理解されない恐れもあり、教員にとってはさじ加減が難しいそうですが、大学の授業を肌で感じることができます。なかには数年通って、いろいろな先生の授業を聴講している高校生もいるそうです。大学の授業にふれるチャンスです。
(2018年の「模擬授業」)



模擬授業は人気なので、早めの予約を

(2)インタラクティブ展示
インタラクティブは「双方向の」とか「対話型の」と理解すると分かりやすいでしょう。3階のモールや、1階のプレゼンテーションベイなど、学内のあちこちで、学生有志が研究成果や活動内容を展示します。3年生が必修で取り組むプロジェクト学習の内容をはじめ、コースごとや研究室ごとのブースなど、さまざまなチームで展示内容を考えます。その数40以上。観光、マリンIT、医療、食、人工知能など、幅広い分野とテーマのブースが揃い、いくつかをめぐれば、未来大の学びがイメージできるかもしれません。
「インタラクティブ展示」と名付けているのは、一般的な学術展示と違い、各ブースにデモを置いて操作を体験してもらったり、教員や学生が解説することにより、パネルを読むだけ、展示を眺めるだけではない双方向のやりとりを特徴としているからです。デモを体験し、「これはナニ?」と感じたらどんどん質問してください。インタラクティブ展示にはワクワクがいっぱいあるはずです。
(2018年の「インタラクティブ展示」)




未来大の研究や最新機器を体感できる「インタラクティブ展示」。
高校生や保護者が興味津々でブースを回る

(3)充実した相談コーナー
大学での学びとともに、高校生にとって気になるのは函館での学生生活や卒業後の進路のこと。そうした不安や疑問に答えるのが相談コーナーです。一人暮らしやアルバイトのことなら「学生生活相談コーナー」、受験や勉強のことなら在校生が応じる「進学相談コーナー」、卒業後の進路のことなら卒業生の話も聞ける「就職相談コーナー」と、目的別にブースが並びます。
女子高校生の不安に先輩女子が応える「女子受験生支援コーナー」、授業料や奨学金など保護者からの問い合わせに応じる「教職員による進学相談コーナー」などもあります。




相談コーナーはもちろん、学内のあちこちで
在校生と高校生の密談(?)風景が!

【有意義なOCにするポイント】
その1・教員や学生と積極的に会話し、交流してください。特に学生からは学校のことや生活のこと、函館のまちのことなど、リアルな情報が得られると思います。
その2・相談コーナーを有効に活用してください。せっかくのOCなので、疑問や不安を現地で確認、解消しましょう。

新美:インタラクティブ展示のそれぞれのブースに教員や学生がいますから、研究内容や展示物について質問するだけではなく、「下宿先はどこがいいですか」「サークルはどんなものがありますか」など気軽に雑談するとよいですよ。

千葉:学部がいくつもある大学とは違い、未来大はシステム情報科学部の1学部のみです。しかし、その中でこんなにいろいろな領域を学べる、と知ってもらいたいですね。未来大の学びは幅広い分野と結びついたものが多く、きっと興味が持てる展示などを見つけてもらえるはずです。また、当面の目標は大学受験なので、どうしても入試や大学生活に視線がいきがちですが、入学はゴールではありません。卒業後や将来の就職まで視点も持ってOCに参加してほしいですね。相談コーナーに力を入れているのもそのためです。



インタラクティブ展示の一つ「プログラミング体験」では、
チューターと呼ばれる先輩学生が参加者自らプログラミングできるようにサポート

昨年のOCに参加して未来大への進学を決めた現在1年生のある女子学生は「先輩による進路相談や学校生活の話が新鮮でした」と言います。
このように、OCの準備や運営に多くの学生が関わっていることも特色の一つです。昨年、在校生と話をして志望・入学した学生が、今年は高校生の相談に乗り、自分が感じていることを伝える。その高校生にとっては、自分が未来大のイメージリーダーになるかもしれないわけですから、責任は重大(!)です。

千葉:受付、展示、キャンパスツアーのガイド、相談コーナーの対応はもちろん、BGMの担当や記録写真の撮影などの裏方も含めて、当日だけで200名以上の学生が運営に携わっています。また、スタッフ用のTシャツやリーフレットの制作は情報デザインコースの学生が担当し、授業で身に付けた知識や技術を実践する場としても活用しています。学生にとってOCは、準備や運営を通じて大学への誇りや愛着を育む機会でもあると思います。

昨年、キャンパスツアーのガイドとして関わった現在2年生の男子学生は「飽きないように聞いてもらうことに苦労しましたが、その分コミュニケーション能力が鍛えられました。担当したキャンパスツアーの参加者のなかから入学した人がいたと聞いたときはとてもうれしかった」と話します。

いろいろな機会を通じて大学を知り、感じる

未来大にコンタクトできる場はOCだけではありません。

新美:9月には札幌の地下歩行空間で「オープンキャンパス in 札幌」を開催します。規模は小さくなりますが、インタラクティブ展示や進学相談コーナーも設けます。また、毎年2月には3年生のプロジェクト学習の一環として、東京の秋葉原で成果発表会を行っています。函館以外で学生が外に向けて発信するこうしたイベントは、今後「FUN Days(ファンデイズ)」という名前で統一し、一貫性を持たせて発信していきます。

千葉: OCや「FUN Days」は受験に向けた強い動機づけにもなりますし、どんな大学なのかを理解したうえで入学することは学生にとっても大学にとってもよいことだと思いますので、今年も多くの方にお越しいただきたいですね。また、イベント時だけではなく、平日の日中なら自由に学内を見学できます。

新美:多様な情報がインターネットで手軽に入手できる時代ですが、情報過多でかえって分かりづらくなっている面があるように思います。「百聞は一見にしかず」ですから、未来大に限らず、気になる大学のOCに参加して在校生や校舎など通して雰囲気を感じてみてほしいですね。多くの学生や教員と話をして、自分が大学に入った姿をイメージしてみるのがいいと思います。様々な大学のOCへの参加を通じて、大学の最先端の研究に興味を持つきっかけや、大学で勉強することの意味を考えるきっかけになればとよいと思います。


教員と事務局がチームを組んで大学運営にあたっている未来大。オープンキャンパスのワーキンググループ長の新美礼彦先生(情報アーキテクチャ学科准教授/左)と、事務局職員の千葉裕介さん(教務課入試・学生募集担当)