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2021-04-27

令和3年度公立はこだて未来大学入学式 理事長学長式辞(動画)

令和3年度公立はこだて未来大学 理事長・学長式辞(11分間)

 

新入生のみなさん、公立はこだて未来大学へようこそ。
歓迎と、そしてお祝いを申し上げます。
保護者・ご家族の皆様にも心からお祝いを申し上げます。
新型コロナウィルス感染症の状況を考慮して、入学式は新入生のみ対面参加という形式で執り行うことといたしました。
どうぞご理解ください。

新入生の皆さんには、今日から未来大生としての学びがはじまります。
この機会に二つのことをお話ししたいと思います。

一つ目は「情報」です。
未来大学は情報科学の大学です。みなさんは情報科学を学びます。
情報科学の根幹は「情報で社会をデザインする」です。
情報は現代社会のあらゆる側面に入り込んでいます。
みなさんも日常的に接しているWeb、SNS、gameはもちろんですが、生産、流通、エネルギー、金融、e-コマースなど情報抜きには生活は成り立ちません。
最近は自動車の自動運転、スマートシティなども話題になっています。
コロナウィルス感染症のためにオンラインを利用した大学の授業や在宅勤務も拡がっています。

たくさんのデータを集めて賢い意思決定へと結びつける、複雑なシステムを上手にデザインする、
新しいサービスを実現する、快適で効率的で環境に優しい生活を実現する、しっかりと人々のプライバシーを守り、民主主義を育む、社会全体を見渡したデザイン思考が重要になっています。

未来大学は函館という街にあります。函館をフィールドとした社会デザインに触れる機会がたくさんあるでしょう。

お話ししたいことの二つ目は「自立」です。
「クララとお日さま」という小説作品を紹介しましょう。
日本生まれで英国在住のノーベル賞作家イシグロ・カズオという方が最近発表しました。
AIの発達した近未来社会を舞台として、孤独・愛・人間のこころをテーマとした作品とされています。
クララという人型AIが主人公として登場します。
クララは人間の子供の友達、Artificial Friend (AF)、日本語では人工親友と訳されています、となるべく作られました。
病弱なティーンエージャーの女の子ジョジーのAFとなって、その家族に加わります。

クララはsuper intelligentなだけでなく、並の人間以上に繊細で優しくて、人工親友として重病のジョジーのために自分を犠牲にすることも厭わない行動をとります。
しかし、ジョジーは病気の回復を期として大人への成長の階段を一段上がって、新しい生活を求めて出ていきます。
それに対して子供の友達という目的の固定したAFのクララは、目的を達成して満足ですが、人間からは不要とされ捨てられ忘れられてしまいます。

人間は成長して、新しい目標を自分で定めて先に進むことができます。
みなさんもこれまでは先生が勉強すべき目標を与えてくれたでしょう。
しかし今日からは違います。
自分は何をしたいのか、どのような人間になりたいのか、どのような社会に住みたいのか、そのために今何をすべきなのか、そのようなことを自分で考えて先に進む、それが大人になること、自立です。
大学はその出発点です。

コロナウィルス感染症COVID-19はまだ終息していません。
大学は、対面とオンラインの混在が続きます。
より良い新しい大学教育の形を求めて手探りが続きます。
分からないこと、心配なことがあったら遠慮なく声をあげてください。
コロナに負けずみなで力を合わせて新しい大学を作りましょう。
みのりあるそして楽しい大学生活を過ごしてください。

2021年4月5日
公立大学法人 公立はこだて未来大学 理事長・学長
片桐 恭弘