令和元年度卒業式・修了式 理事長・学長式辞(令和2年3月23日)

卒業生・修了生のみなさん、 卒業そして修了おめでとうございます。

本来であれば、今日は卒業生・修了生のみなさん、さらに保護者の方々、ご家族にもお集まりいただき、卒業・修了を皆でお祝いする機会となるはずでした。新型コロナウィルス感染の拡大のために、大変残念ではありますが、このような簡略化した形で卒業式・修了式を行うことになりましたこと、どうぞご理解ください。

卒業式・修了式にあたり二つのことをお話ししたいと思います。

第一は「振り返り」です。卒業・修了のこの機会に、未来大学で過ごした時間を振り返りましょう。未来大学に入学して、ガラス張りの校舎で、たくさんの期待と少しの不安とで学び始めた頃のこと。プロジェクトで締め切りに追われながら皆で力を合わせて頑張ったこと、卒業研究で先生と議論したこと、学会発表のために発表練習をしたこと、友人と一緒に楽しい時間を過ごしたこと、それらの体験すべてがこれからのみなさんの人生を支える力になります。そして、この機会にみなさんを支えてくださった家族・友人に感謝しましょう。

明日からは、未来大で育んだ学び続ける姿勢を持ち続けて、未来大卒業生、未来大コミュニティの一員としての誇りを持って進んでいってください。

お話ししたいことの二点目は、社会をデザインするということです。

新型コロナウィルスは今も世界中で感染が拡大中です。20万人を超える人が感染し、1万人以上が亡くなっています。感染拡大への対応では国・地域ごとに大きな違いが出ています。初期の対応が遅れて感染が急拡大してしまい、それから強引とも言える方法で封じ込めを図っている国、感染拡大を恐れながら対応策を模索している国、封じ込めに失敗して現在でも感染拡大が止まらない国。

それらの中でも、台湾は現在のところ封じ込めの成功例と言われています。前回SARS感染の時の教訓を活かして感染症対応策がしっかりと準備されていたこと、新型コロナウィルス感染の早い時期で対応策をとったことなどがその理由とされているようです。

対応策にICT、Big Dataを積極的に取り入れたことが封じ込めに効果をあげていると言われています。出入国のデータと健康保険のデータを結合して病院来院者の中で感染拡大国からの帰国者を見つける、人々の移動データから感染危険箇所を訪れた人を見つけるなどの方法で感染者の早期発見に努める、オンラインのマスク配給システムを設けてマスク不足を防ぐなどの方策が取られています。

この台湾の例はICTが社会デザインの中核にあることを典型的に示しています。感染拡大防止という課題に関わる医療・公衆衛生の専門知識、課題解決に向けたICTの貢献可能性、そして社会を動かすための政策・ルール作りそれらが融合して社会がデザインされます。この構造は、気候変動や高齢化社会をはじめとするこれからの社会を取り巻くさまざまな課題に共通します。

未来大学では新型コロナウィルスに対応して、 新学期から本格的な遠隔授業の導入を全学で検討しています。教育においても新しい社会デザインが始まります。

ICTは利便性だけをもたらす訳ではありません。今回の新型コロナウィルス感染についても、プライバシー保護や私権制限の適切なレベルを巡る議論が続いています。

オープンで透明性の高い議論を通じて、信頼のある社会をデザインすることが肝要です。

未来を予測するもっとも良い方法は未来を創造することである
The best way to predict the future is to create it.
という言葉があります。

非常に著名な言葉で、もはや誰が最初に言い出したのか諸説あるようです。誰が言い出したにせよ、良い言葉であることに違いはありません。

この言葉を皆さんに贈ります。
The best way to predict the future is to create it.
みなさんがこれからの社会を作っていくのです。

卒業おめでとうおめでとう。
活躍と成功を祈ります。

2020年3月23日
公立大学法人 公立はこだて未来大学 理事長・学長
片桐 恭弘

 

 

更新 2020/03/23