教員プロフィール

教授
三上 貞芳 Sadayoshi Mikami
所属学科複雑系知能学科
専門分野知能機械学
担当科目ロボットの科学技術、情報処理演習I、適応システム特論(大学院)
最終学歴北海道大学大学院工学研究科精密工学専攻博士後期課程
学位工学博士
経歴1991年,北海道大学大学院工学研究科精密工学専攻修了.北海道大学工学部助手,英国University of the West of England研究員,北海道大学大学院工学研究科助教授を経て,2000年より公立はこだて未来大学教授.2008年から2010年まで同大学共同研究センター長.2011年シンガポール国Nanyang Technological University客員教授.2012年から未来大大学院研究科長.2004年よりNPO法人水産物トレーサビリティ研究会理事長.日本機械学会,日本ロボット学会,情報処理学会,計測自動制御学会,IEEE RAS等の会員.
着任時期2000/04

研究内容

単純な「機構・しくみ」が持つ強さを生かして,環境適応,不安定な現象の安定化,情報サービスの効率化など,強いシステムを実現する研究を進めています.

機械技術の分野では,2足歩行ロボットや人の歩行の安定性を足底の形状で向上させる技術や,リンクだけで実現する3次元全方位の脚などによる不整地移動ロボットの研究.知能技術の分野では,故障や行動不能に陥った多脚ロボットを自己学習で回復させる研究など.情報技術の分野では,生鮮食品の偽装防止トレーサビリティ技術や,その入り口となる技術として,生鮮品のおいしさの画像特徴による判別などに取り組んでいます.

力や情報・物の流れと対象は異なりますが,いずれも小さな変化を適切に加えることで,全体を強くするように制御・協調させることを目指した研究です.

(詳しくは研究室のホームページをご覧ください: http://www.trace-info.net/lab/)

研究の魅力

知能技術:たとえば人の手が届かないような場所で作業を行う自律ロボットには,さまざまな状況でも停止や機能不全に陥らないような設計が求められます.その場合に,前へ進むことやその場から遠ざかるなどの,単純だが重要な目的が達成できるように試行錯誤を行わせるのがこの研究です.こうした機械学習技術とロボット技術の組み合わせは,生き物の根源的な強さを機械に与える可能性のある技術として魅力を感じています.

ロボット技術:安定な2足歩行は,歩行のバランスを保つために強力な動力や精密なセンサと高速な計算能力が必要な精密技術です.一方で,おきあがりこぼしや船など,形が持つ自然な回復力をうまく利用した仕組みが数多く知られています.歩行という複雑な過程にも,形による自然な安定化が取り入れないかと考えて,足の底の形に着目したのがこの研究です.さまざまな型のロボットなどの実現技術が進歩すると,実はその背後に単純な仕組みが使える対象が残されていることが多くあります.

情報技術:上に挙げた2つとは分野が異なっていますが,食品などを含めた流通も複雑な過程の一つに数えられます.このような多くの人や物がかかわる分野こそ,単純な仕組みで大きな改善ができる場がないかと考えています.その一つとして生鮮水産物に関して,重さを鍵とした偽装防止のトレーサビリティシステムを考え実用化までこぎつけることができました.生鮮食品の分野での情報化はまだ限定された取り組みしかありません.目利きアプリなどの開発をはじめとして,様々な可能性が広がる分野だと思っています.

実績

・知能技術:人工知能技術の一つである強化学習に関する初めての教科書を翻訳し出版しました(2000年).

・ロボット技術:受動歩行ロボットの連続歩行世界記録(16.3km/100時間)を達成し,ギネスワールドレコードに認定されました(2011年).

・情報技術:生鮮魚介類での先駆的な取り組みである活シジミの偽装防止トレーサビリティシステムを開発し実用化しました(2004年).この取り組みからNPO法人水産物トレーサビリティ研究会を設立し,現在も活動を続けています(2005年~).

・受賞歴:日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス部門ROBOMEC賞(1997年),Artificial Neural Network in Engineering, “Theoretical Developments in Techniques Award” (1997年),日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス部門・部門貢献表彰(2004年),情報処理学会北海道支部技術賞(2004年),平成20年電気学会電子・情報・システム部門大会企画賞(2009年)

主な著作・論文

論文・国際会議他
[1]S. Mikami, T. Fukuda, and S. Suzuki, “Gait Design by Graph Coloring for Robots That Have Legs on Their Faces,” in 2015 IEEE/ASME International Conference on Advanced Intelligent Mechatronics, Busan, Korea, 2015, p. WeAT4.3–1–5.

[2]T. Omido, S. Mikami, and K. Hyodo, “Limiting Stance Leg Heel Angle by Sole Shape to Achieve Stable Passive Dynamic Walk,” in 13th International Conference on Control, Automation, Robotics and Vision, Singapore, 2014, p. Th37.6.

[3]S. Mikami, T. Fukuda, A. Igarashi, and S. Suzuki, “Prismatic Omni-Directional Legged Machine for Rough Environment Movement by a Simple Mechanical Drive,” in 13th International Conference on Control, Automation, Robotics and Vision, Singapore, 2014, p. Fr43.4.

[4]S. Mikami, N. Rikiishi, M. Sugawara, K. Hyodo, “The longest walk by a passive walking robot.” Guinness World Records, Apr-2013.

[5]力石直也, 菅原学, 大御堂尊, 兵頭和幸, 三上貞芳, “抑制足形状による2足受動歩行ロボットの歩行安定化原理を応用した歩行安定化促進靴,” バイオメカニズム学会誌, vol. 37, no. 1, pp. 66–69, Jan. 2013.

[6]T. Wakahara and S. Mikami, “Feedback Control of Traffic Signal Network of Less Traffic Sensors by Help of Machine Learning,” in 12th International Conference on Intelligent Autonomous System, Jeju Island, Korea, 2012, pp. T4C–S5, 1–5.

[7]T. Wakahara and S. Mikami, “Adaptive Nutrient Water Supply Control of Plant Factory System by Reinforcement Learning,” JACIII, vol. 15, no. 7, pp. 831–837, Sep. 2011.

[8]新堀航大, 兵頭和幸, 砂山享祐, 三上貞芳, “強化学習を用いたモジュール型多脚ロボットにおける適応的移動法獲得,” Journal of Information Society Japan, vol. 50, no. 3, pp. 1170–1180, Mar. 2009.

[9]兵頭和幸, 三上貞芳, 鈴木昭二, “倒れ込み現象を足裏形状により抑制した受動歩行の安定化,” 日本機械学会誌, vol. 74, no. 742, pp. 1514–1521, 2008.

[10]S. Mikami, Y. Takahashi, A. Nagano, S. Kuwabara, H. Narumi, and T. Wakabayashi, “Enabling Secured Traceability of Fishery Products Using 2D Code and Digital Encryption,” in 12th Biennial Conference of the International Institute of Fisheries Economics and Trade, Tokyo, Japan, 2004, pp. 168–1–7.

特許
[1]三上貞芳, 高橋信行, 鈴木昭二, “車両用支持具,” 特願2014-062227.

[2]長野章, 三上貞芳, 鳴海日出人, 桑原伸司, 若林隆司, 高橋祐太, 吉川真弓, “偽造または偽造商品の判別システム,” 456987920-Aug-2010.

書籍
[1]三上貞芳, 皆川雅章, 強化学習. 森北出版, 2000.

学生へのメッセージ

大学における研究は,様々な制約にとらわれずに,アイデア・技術・考え方の多様性を確保するための貴重な場であると考えています.大学院進学は,このような知的活動に直接参加できる機会です.本学は多様な分野の教員が日常的に教育研究でつながりを持っていることが特徴で,新しい研究を十分にはぐくむことができる場だと思います.

関連リンク