教員プロフィール

准教授
髙木 清二 Seiji Takagi
所属学科複雑系知能学科
専門分野
担当科目
学位名古屋大学人間情報学研究科
前職北海道大学 電子科学研究所 准教授
着任時期2014/04

プロフィール

粘菌という単細胞生物や心臓を主な研究対象に、物質や細胞の集団がどのようにして秩序だった構造や運動を生み出しそして機能するのかを明らかにしようとしています。

仕事の紹介

生きている状態を感じる動きってなんでしょう?ドクンドクンとか、ウネウネという擬態語で表されるような艶めかしい動きではないでしょうか。
アニメやSFの映画などでも得体の知れない未知の生物はドクドクと脈動していたりします。
現実の生き物では、この様な動きは大多数の物質や細胞が協同的に動きをそろえる事で生み出され、それによりポンプのように物を送り出したり、這い回ったり、泳いだりと様々な機能的な動きが可能になります。
ある種の生き物ではこのような動きが情報処理に大きく関わっているとも考えられています。生物においてダイナミックな秩序が生み出される原理と、それにより発現する機能を明らかにすることで、生物に近い新たな機械の原理とデザインや病気の治療に応用できると期待しています。

・単細胞生物の秩序、運動、機能、情報機能
真正粘菌は一つの細胞が1mを越える大きさにまで成長する非常にユニークな単細胞生物です。
単細胞ですから当然脳のような情報中枢をもたないため、我々が設計しがちな中央集権的なシステムとは全く異なる原理で動き、情報処理をしています。
粘菌は置かれた環境に応じて様々な行動をとりますが、その環境をうまく設定してやるとあっと驚くような能力を示すようになります。
例えば、葛藤するような状況で迷い悩むような行動を示したり、餌が散在する状況では実際の交通網に求められる理想的な物流ネットワークを作り上げる空間情報処理能力を示すことを明らかにしています。一般的に“単細胞”という言葉が単純で一面的な考えの意味で使われていることを考えると、
このような高度で多様な情報処理ができることは驚きの事実です。
様々な条件の下で巨大細胞が一細胞としての秩序を生み出し、変形しながら動き回る、このような過程を観察しその動きを解析することでその特異な能力を発見し、その原理を解明します。

・心臓の秩序だった動きと不整脈
心臓は生命らしい動きの典型例で、生きている状態の象徴的な器官です。心臓は数十億個もの心筋細胞が、スタジアムの観客席で起きるウェーブのように、順番に次々と収縮することでポンプの働きが生み出されます。しかし、その伝わり方が一度狂うと、同じ場所を何度もクルクルと回転するように伝わることがあります。これは心臓突然死の原因となる危険な状態です。
しかし、外からの刺激でクルクルの伝わり方を変えてやり、正常な状態に戻す事ができます。最も一般的な方法は経験に基づいて作られた約3千ボルトの電気ショックを与えるAED(体外式除細動器)という物です。
しかし、この方法は電圧が強すぎるため、正常な細胞にもダメージを与えます。そこで、このメカニズムを理論的に考察することで、できるだけ弱い電圧で正常な状態に戻す、人に優しい方法を理論的に研究・開発しています。

最近の著書

・Kei-Ichi Ueda, Seiji Takagi, and Toshiyuki Nakagaki, "Tactic direction determined by the interaction between oscillatory chemical waves and rheological deformation in an amoeba" Phys.Rev.E vol. 86 (2012) 011927
・Marcel Horning, Seiji Takagi, and Kenichi Yoshikawa"Controlling activation site density by low-energy far-field stimulation in cardiac tissue" Phys. Rev. E, vol. 85 (2012) 061906.
・Kei-Ichi Ueda, Seiji Takagi, Yasumasa Nishiura, and Toshiyuki Nakagaki "Mathematical model for contemplative amoeboid locomotion"Phys. Rev. E, vol. 83 (2011) 021916.
・Marcel Horning, Seiji Takagi, and Kenichi Yoshikawa “Wave emission on interacting heterogeneities in cardiac tissue” Phys. Rev. E, vol. 82 (2010) 021926.
・Takashi Yamamoto, Mitsuru Sugawara, Takashi Kikukawa, Seiji Miyauchi, Masahiro Yamaguchi, Atsushi Tero, Seiji Takagi and Toshiyuki Nakagak “Kinetic study of anti-viral ribavirin uptake mediated by hCNT3 and hENT1 in Xenopus laevis oocytes” Biophys. Chem., vol. 147 (2010), pp. 59-65.
・Atsushi Tero, Seiji Takagi, Tetsu Saigusa, Kentaro Ito, Dan P. Bebber, Mark D. Fricker, Kenji Yumiki, Ryo Kobayashi, Toshiyuki Nakagaki “Rules for Biologically Inspired Adaptive Network Design" Science, vol. 327. no. 5964 (2010) pp. 439 - 442.
・Seiji Takagi, Testuo Ueda “Annihilation and creation of rotating waves by a local light pulse in a protoplasmic droplet of the Physarum plasmodium” Physica D, vol. 239 (2010) pp.873?878.
・Kenji Matsumoto, Seiji Takagi, and Toshiyuki Nakagaki “Locomotive Mechanism of Physarum Plasmodia Based on Spatiotemporal Analysis of Protoplasmic Streaming” Biophys. J., vol. 94 (2008) pp.2492-2504.
・Seiji Takagi and Tetsuo Ueda "Emergence and transition of dynamic patterns of thickness oscillation of the plasmodium of the true slime mold Physarum polycephalum" Physica D, vol. 237(2008) pp.420?427.
・M.D. Fricker, M. Tlalka, D. Bebber, S. Takagi, S.C. Watkinson, P.R. Darrah “Fourier-based spatial mapping of oscillatory phenomena in fungi” Fungal Genetics and Biology. vol. 44 (2007) pp. 1077-1084.
・S. Takagi, Y. Nishiura, T. Nakagaki, T. Ueda, K.-I.Ueda "Indecisive behavior of amoeba crossing an environmental barrier" Proceedings of the international symposium on Topological Aspects of Critical Systems and Networks pp. 86-93, (2007).
・S. Takagi, A. Pumir, D. Pazo, I. Efimov, V. Nikolski, V. Krinsky "A physical approach to remove anatomical reentries: a bidomain study" J. Theor. Biol, Vol 230 (2004) pp.489-497.
・S. Takagi, A. Pumir, D. Pazo, I. Efimov, V. Nikolski, and V. Krinsky "Unpinning and Removal of a Rotating Wave in Cardiac Muscle" Phys. Rev. Lett. Vol. 93 (2004) 058101.
・Seiji Takagi, Alain Pumir, Lorenz Kramer and Valentin Krinsky "Mechanism of standing wave patterns in cardiac muscle" Physical Review Letters Vol. 90 (2003) 124101.
・Seiji Takagi, Christian Frelin, Valentin Krinsky and Alain Pumir "The use of Faraday instability to produce defined topological organization in cultures of mammalian cells" International Journal of Bifurcation and Chaos, 12 (2002) , pp.2009-2019.
・S. Takagi, K. Tsumoto and K. Yoshikawa "Intra-molecular phase segregation in a single polyelectrolyte chain" J. Chem. Phys., 114 (2001) , pp.6942-6949.

総説
・Marcel Horning, 高木清二「非線形で心筋不整を治療する」数理科学 No.581,2011年11月
・高木清二,中垣俊之 "粘菌がつくる自己組織的な鉄道網" 現代化学 No 477,2010年12月