研究プロジェクト紹介
研究目的
情報システムの多機能化,高機能化によってもたらされる複雑性を克服し,安心・快適な情報環境を構築するには,人間と情報システムとの間に存在する様々なレベルでのギャップを,実世界におけるマルチモーダル・インタラクションによって解消することが必要である.
本研究では,実世界インタラクションの理解と支援技術の研究開発を目的とし,(a) 計測と分析,(b) 知能メディア技術による支援,(c) 意味あるインタラクションを捉え場面を越えて適用可能なコンテンツとして結晶化させるコンテンツ化技術を中心とした研究開発を行う.
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(a) 実世界インタラクションの計測と分析の研究では,ユビキタスセンサ技術によって実世界インタラクションデータの自動獲得とタグづけを行い,インタラクションコーパスに収録することによって,実世界インタラクションの現象の分析と解明を行う.
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(b) 実世界インタラクションの支援研究では,センサーや記録装置の埋め込まれたユビキタス環境と,人間と相互適応的に身体インタラクションを行う会話ロボットを実現して,環境内の人間の行為を見守り,状況に応じて知識提供を行うことによって,知識の創発を促進する会話環境を構築する.
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(c) 実世界インタラクションのコンテンツ化の研究では,ネットワークから自動構築した常識知識ベースを用いて,実世界インタラクションデータ中の意味ある脈絡を見出し,空間化・身体化され,実世界環境と整合性の高い記憶構造のなかに組み込むための技術を研究開発する.
これらの研究は,いずれも従来の研究で一般化しつつあるメディアデータ(映像・音声・音響)に加えて,運動データ(人間やロボットの質量移動やそれによって生じる圧力などの物理的変化)と生体データ(視線,血流,発汗,触覚)まで含めた統合的なデータをリアルタイムで取り扱えるレベルまで進めることを目標とする.これらの研究を統合的に進めるために,支援班で開発する実世界インタラクション計測分析環境(IMAE)を基盤とするシステム開発を行う.DIY作業を題材とする実世界インタラクションを共通題材として研究分担者間の研究成果の統合を図る.