実際にやってみよう

行動分析学とABC分析について学んだので、実際に行動分析学を行ってみましょう!


1、達成目標と行動目標を決める

[3]島宗によると、
達成目標・・・最終的に何を達成したいかという目標
行動目標・・・達成目標のためにすべきあるいはすべきでない行動に関する目標


達成目標が大きい場合すぐにその目標を目指そうとしても難しい場合が多いです。
まずは、小さい行動目標に分けてから徐々に大きくするようにしましょう。

また、目標は曖昧であると達成されたかどうかが分かりにくいため、具体的なものにしましょう。

例)達成目標:毎日ランニングを10km走りたい    行動目標:週3~4日行う、2kmから始めて段々長くしていくなど。

2、行動分析をする

先ほど説明したABC分析を行います。 その際の注意点をいくつか紹介します。

・好子や嫌子は行動してから60秒以内に出現しないと効果が得られない。  
動物実験より行動してから60秒以内に、結果として好子や嫌子が出現しなければ効果が得られないことが分かっているので、
何か結果を変えるときは60秒以内に出現するものにしましょう


を使わない  
[2]によると罰を用いると、

 (a)回避や逃避を生み出す
 (b)怒りや恐怖の情動反応を引き起こさせる
 (c)罰は特定の行動の生気頻度を減らすが、望ましい行動の生気頻度の増大にはつながらない 

の3点が引き起こされるといわれています。

自分の子供や他人に対して行動を治してほしい場合は絶対に罰となることをせずに上手く嫌子となるように工夫しましょう。


の代わりに・・・
1)ある行動に付随して「もの」的な好子を奪い、その行動の頻度を減らす
 例)子供が悪いことをしたときに、お菓子やおもちゃを取りあげる

2)ある行動に随伴して好子に接触することを禁止することで、その行動の頻度を減らす
 例)子供が悪いことをしたときに、2分間別の部屋に行かせる それまでいた部屋の隅の椅子に座らせる のように悪いことから離れさせる。

3、実際に行動分析を行う

2で分析した行動をやってみましょう!

・誰かと共に行う 
一人で行動分析学を行おうとしているあなた! 
  ➡ 友達や家族と共に直したい行動を考えて、一緒に行いましょう!
    互いに注意しあったり、競争することの方が行動分析が続きます


・目標に締め切りをつける
なんとなく時々やるようにしよう~ ➡ 「明日やればいいや」という風になりがちで、先延ばしされ、達成されずに終わってし       ☟            まうことがあります。
       ☟
  締め切りを決めましょう!
     ➡ 日間、週間、月間目標はある一定期間に達成を測ることのできる便利な目標設定の方法です。


・達成度を測るために記録を取る。


 ~終わりに~

「行動分析学」についてよんでいただきありがとうございました。

最後に「ABC分析」のページで出てきた、「トラウマがある場合」について少し説明します。

トラウマとは[4]宮地によると「過去の出来事について心が耐えきれないほどの衝撃を受け
それが同じような恐怖や不快感をもたらし続け、現在まで影響を及ぼし続けている状態」と定義されています。

「水が苦手だが、泳げるようになりたい」という例を出します。

・達成目標と行動目標を決める
達成目標・・・水に慣れて、泳げるようになる
行動目標・・・プールに足だけ入れる→徐々に体を入れる→顔も水につける→バタ足から始める…

まずはこのように目標を決め、ABC分析を行い、実践する際には「好子を60秒以内に出現させる」、「誰かと共に行う」など
このページで説明してきた様々なことを用いることができると思います。
是非とも、どのような例が使えるかな、ということをご自身で考えてみていただきたいと思います。


<文責 石田紘己>


参考文献


[1]行動分析学入門 杉山尚子、島宗理、佐藤方哉、リチャード・W・マロット、マリア・E・マロット
[2]スキナーの心理学 ウィリアム・T・オドノヒュー、カイル・E・ファーガソン
[3]パフォーマンス・マネジメント-問題解決のための行動分析学- 島宗 理
[4]トラウマ 宮地尚子