認知行動療法

認知行動療法とは

認知行動療法とは認知に働きかけ、気持ちを楽にする精神、心理療法の1つです。認知とは物事に受け止め方または考え方のことです。私たちはストレスを感じると、悲観的になり気持ちが沈んでストレスに立ち向かうことができなくなってしまいます。認知行動療法はそうした考え方を改善することによりストレスに上手く立ち向かえるような心の状態を作っていきます。

~心を軽くする!!ABC理論~

ABC理論とは、Aが出来事、Bが認知の仕方、C が結果的に起こる感情だとするとAの出来事がC の感情を引き起こすのではなくBの認知の仕方を修正することによりCの感情が変わるという理論である。つまり、認知の仕方が合理的ではない考えや事実とは反する思い込みになっているものを修正することによって不愉快な感情を改善できる。

 

上の図のようにある出来事がありそれに対する認知の仕方によって、結果的に起こる感情が変化していく。したがって、認知を改善することにより対人恐怖や不安症などの問題を心理学的に解決することができます。では、どのように認知の仕方を変えていくのでしょうか?

~一人で出来る!!~ 認知行動療法

では、具体的にどのように「認知行動療法」を実践していけば良いのか?
実践方法には認知的技法と行動的技法の2種類あります。

【認知的技法】
①その思考を裏付ける証拠について質問する
→自分自身に対してなぜそう思うのかを問いかける。
②誰、あるいは何のせいでそうなっているのかを明確にする。
→冷静に原因を考える。
③選択の余地を検討する
④悪い見方を緩和する
⑤想像した成り行きを検討する。
⑥プラスとマイナスの側面を検討する
⑦否定的な考えを肯定的に変化させる。
⑧認知的リハーサル
⑨気晴らしの利用
→音楽を聴く、散歩するなど自分の気持ちが軽くなるような行動をする。

【行動的技法】
①活動スケジュール表の作成
→1週間単位で作成すると良い。
②習得度・満足度スケジュールの作成
→1日の満足度を10段階で評価する。
③段階的な課題の割り当て表の作成
→1日のやる事をスケジュールし、表にまとめる。
④行動リハーサル
→実際に行動してみる。
⑤社会的スキル訓練
→ソーシャルスキルトレーニング
⑥読書療法
⑧リラクセーション、瞑想、呼吸方法
→「呼吸瞑想法」

<不安な気持ちに襲われた時の自己チェックリスト>

もし不安な気持ちに襲われた時、以下の項目を自分自信に問いかけてください。

◻︎今何が気になっているのか?
◻︎気になっていることに関連する出来事
◻︎気になり不安に感じていることがどれくらい現実化する可能性があるか?
◻︎気になることを1~3で評価した結果、もう一度考える。(不安をもたらす事柄を現実のこととして考慮する必要がどの程度あるか?)

<文責 恒川尚輝>  

参考文献

[1] Albert Ellis. The Revised ABC's of Rational-Emotive Therapy 1991.p139-172
[2]岩本隆茂.大野裕.坂野雄二. 認知行動療法の理論と実際培風館. 1997
[3]加藤忠史.入来篤史. 脳科学の教科書こころ編. 理化学研究所 脳科学総合研究センター編 2013.p210-211