プロジェクト学習
未来大のプロジェクト学習とは
明快な解のない問題の解決へ試行錯誤を重ねる1年間

本学が2002年から実施している3年次必修科目のプロジェクト学習(正式名称:システム情報科学実習)は、実社会に根ざした多様な課題群の解決や解消に向けて、学内外で協力して取り組む問題発見・解決型学習科目です。全国に先駆けて、全学生の必修科目として実施しているもので、すでに20年以上の歴史を有する、本学の教育カリキュラムの根幹をなす実習科目です。学生のみならず教員も、学科・コースの垣根を越えて、時には地域の人々や行政、企業など学外の方も含めてチームを構成する点に大きな特徴があります。
このプロジェクト学習は、社会的に意味のある環境と共同的な活動の中で、より強く学びを動機づけます。また、チームの仲間、教員、地域や企業の方などとのさまざまな出会いやコミュニケーションを重ねるその過程に、大きな価値があります。ものの見方や資料・データの収集と分析、議論の進め方、他者への理解や共感、プレゼンテーションの力など、プロジェクト学習の活動の中で磨かれていく資質は、その後の人生に大きく活かされる糧となります。
問題提起から問題解決までのプロセスを実際に体験
プロジェクト学習は、毎年4月の教員による「テーマ発表会」からスタートします。教員全員がそれぞれチームを組んで提案する、15から20個のテーマを、ブースごとに学生にプレゼンテーションし、3年生全員がそこから希望するテーマを選びます。定員を超えれば面談の上、調整されます。1テーマには5名から15名の学生が割り当てられます。その後は学生が主体的に動き出し、前期、中間発表会、後期の活動を経て12月の成果発表会では数百人の来場者に対して、ブースごとにポスターを掲示し発表を行います。最後に、最終レポートを作り上げ提出するまでの、1年をかけた実習です。
本学では、1・2年生の間に、いくつかの授業でグループでの学習を経験します。たとえば、1・2年生の必修科目「Communication」では、デジタル・リテラシーやプロジェクトの計画方法、討論、プレゼンテーションなどについて学び、背景の異なる人々と効果的にコミュニケーションをとる力を身につけます。また、1・2年生の間に、基本的な情報技術の原理やプログラミングスキルや制作のスキルを学びます。3年生になるまでに、このようなグループ学習の基礎的経験を積み必要となる知識を習得したうえで臨むプロジェクト学習を据えたカリキュラムにより、問題課題解決までのプロセスをより効果的に体験することが可能となっています。



プロジェクト学習のテーマ
2025年度のプロジェクトテーマ一覧
- ミライケータイプロジェクト
- 使ってもらって学ぶフィールド指向システムデザイン 2025 (愛称すうぃふと 2025)
- 食の GX
- Creative AI
- ロボットで未来大を世界にアピール ~ エンターテインメントロボット& ドローン~
- Practical Machine Learning
- Dynamics Insights 2025
- 心の解明 ―脳波実験を通じた脳と身体の相互作用の探求―
- 数理モデリングプロジェクト
- シン・函館補完計画 「棒二森屋」跡地をフィールドとする地域共創 AR サービスのデザイン
- Make Brain Project
- 世界最大の国際展示会に出展するミライノカーリングプロジェクト
- メタバース・DE・アバター
- デジタルヘルス 2025
- AI 時代の地域の未来をデザインする
- DLITE4:境界なく人々の生活を支援する技術
- 拡張される文字体験のデザイン
- 触発の連鎖を通して豊かな文化的体験を深めるミュージアム IT
- 世界に羽ばたくグローバルデザイン
- 生体信号を利用した身体拡張インタフェース
- Ai in play
Make Brain Project
感覚的な行動を論理的に理解するという試み
感覚器官にフォーカスした3つのテーマで展開
2021年度から続く「Make Brain Project」では、脳の情報処理に学んだ人工知能の開発や、生物の脳の仕組みの理解を目標としています。
担当教員の栗川知己准教授は「神経系の知見を活かして現実の問題に取り組んでほしいとだけ伝え、あとは学生が話し合って具体的なテーマを決めるところから始めました」と語ります。その結果、13人のメンバーが「触覚を持つ歩行ロポット」「視覚を持つAIカー」「声から予想されるキャラクターを出力するAI」という3つのグループに分かれての活動がスタートしました。
プロジェクトリーダーの狩野政宗さんに3つのテーマの共通点を尋ねると「歩行ロポットは昆虫の足先の触覚、AIカーは視覚、声からキャラをイメージするAIのグループは聴覚と、それぞれが人間や生物の感覚器官に注目した研究になっています」とのこと。脳の仕組みを探るために、今年度は出入力の部分である感覚器官にフォーカスしたのです。
反省点もありながら一定の成果を上げた学生たち
実際の進行にあたっても学生の自主性に任せたとのことで「学生自身が自分でテーマを決め、そこに向けてどんな方法を使うかも含めて考えてビルドアップしていくプロセスが重要なので、その点で非常に教育的意義が高いです」と栗川准教授。プロジェクトの成果についても「今年度は最終的に形として結構まとまったという印象は受けました」と評価する深川准教授に対し、狩野さんは「ロボットの制作に時間が取られてしまって、脳の仕組みを考える時間が足りなかったですね」と反省点を挙げていました。
他大学にも類似したPBL (Proiect Based Learning)はありますが、未来大ほど本格的にやっている大学は少ないそう。栗川准教授が「各プロジェクトのリーダーはマネジメント能力が養われますし、東京での発表の場もあります。そこもうちの強みですね」と自負するように、MakeBrain Proiectでの経験を通してメンバーは大きく成長しました。
コスメ×データサイエンス
巨大コスメサイトのクチコミを分析して有益な知見を得る
インターネット等での商品購入の際に、レビューサイトのクチコミで情報を調べることが一般的になっています。このプロジェクトでは、腸買決定に大きな窓響力を持つクチコミをデータサイエンスによって分析し、ユーザーに有益な情報として提供することを目指しました。その元になったのは、運営会社の協力により提供された、日本最大級のコスメ・美容情報サイト「@cosme」の2023年度のクチコミデータ約138万件です。「もともとコスメが好きで、授業で学んだデータサイエンスも面白かったので、迷わずこのプロジェクトを希望しました」と語るプロジェクトリーダーの橋本海さんをはじめ、10名のメンバーが3つのに分かれて活動しました。
類出するワードを選定・分析してクチコミを一目で把場できるようにする「クチコミ可視化」では、特定の商品のグラフ化に成功。クチコミの有用性を検討する「クチコミ評価」では、有用か否かを判断するモデルの作成や「Like数の多さ」との関連性を検証しました。メーカーの試供品の使用をもとにしたクチコミの性質を開した「コスメサンプル班」では、新たなサービスの提案につながる知見を得ることができました。
膨大なデータを一気に分析するとエラーが出るので、細分化やカテゴリーを絞る下準備に手間と時間をかけたとのことで、「前期はテーマや分析方法の検討に費やして、後期から本格的にデータ分析に取り組んだのですが、なんとか形になってホッとしました」と橋本さん。他の商品やサービスにも応用できるクチコミ分析には、多くのユーザーの利便性と満足度を上げる期待が寄せられています。

暗号と数理とセキュリティ
前期で学んだ数学知識を後期のプログラミングと実装に活かした
インターネットを介した情報のやり取りに、昭号化によるセキュリティは不可欠です。公開鍵号方式やブロックチェーンなどの暗号技術について学習し、関連する社会課題の解決を図るのがこのプロジェクト。今年は4名のメンバーが、公開鍵暗号の主流である楕円曲線号のアルゴリズムをプログラムでき、それをハードウェアに実装することを目的に活動しました。
プロジェクトリーダーの後藤瞭介さんは、「将来、エンジニアとして作ったものに責任を持つためにセキュリティの勉強はしておきたいと思いました」と、このプロジェクトを選んだ理由を語ります。前期は基礎となる数学を学ぶことに費やし、分厚い数論の教科書をメンバーで輪読しながら知識と理解を深めました。後期はそれを踏まえてプログラミングとハードウェアへの実装を目指したものの、「時間切れで目標には到達できませんでしたが、来年度以降に引き継げるものにはなったと思います」と後藤さん。少数精鋭で難題に取り組んだこの経験は、各メンバーの将来に生きることでしょう。

文部科学省特色GP H18-20採択
解がない問題への自己組織的アプローチ
本学のプロジェクト学習(正式名称: システム情報科学実習)は、平成18年度文部科学省GP(特色ある大学教育支援プログラム: H18-20年度)に採択されています。
(プログラム概要/最終成果報告)



















































