令和3年度卒業式・修了式 理事長・学長式辞(9分間)
卒業生・修了生のみなさん、卒業そして修了おめでとうございます。
保護者、ご家族の方々にも心よりお祝いを申し上げます。
函館は雪も溶けて、少しづつ暖かくなり、日差しも明るく、春の兆しが感じられるようになってきましした。
この2年間、コロナウィルス感染症COVID- 19のために皆さんの大学生活は大きな影響を受けました。 授業も研究室のゼミもオンライン、学会発表もオンラインとなり、 コロナ以前の対面コミュニケーションが当然という常識が一変しま した。
帰省や旅行もままならず、友人や家族との交流も制限された時期もありました。
コロナ感染に対する不安、ワクチン接種に対する不安もあったことでしょう。
そのような中でも、皆さんはしっかりと新しいオンライン環境に順応し、勉学に励み、立派に今日卒業・修了を迎えられました。
大学だけでなく、皆さんが明日から生きていく日本全体が、ポストコロナのより良い社会のあり方を模索しながら進んでいきま す。
2月24日、ロシア軍がウクライナ侵攻をはじめました。 その日を境として、世界は一変しました。 戦争のために人々が犠牲となり、街が破壊され、 難民となって逃げ出している、そのような悲劇はもちろんのこと、 人権、民主主義、法に基づく社会といった、 これまで私達が当たり前と思って受け入れていたシステムが、 もはや当たり前でもなんでもなく、力による支配がすべてという世界が存在するということが目の前に 突きつけられました。そのような危機的な状況でもウクライナのゼレンスキー大統領はネ ット持つ力を活用して強力なメッセージを世界中に発信しています。
映画の世界では、アカデミー賞が今週末に発表されます。 日本からも濱口竜介監督の作品「ドライブ・マイ・カー」 がノミネートされています。もちろんオスカーを獲得するかどうかは分かりません。しかし、 自分の作品の映像化を好まないと言ってきた原作者の村上春樹さん が、この作品は気に入ったと言っているそうです。 村上春樹さんの作品の雰囲気を映像で的確に表現した最初の作品と いう評価もあるようです。
何よりも、 字幕付きで上映される作品を対象とした国際映画賞ではなく、 作品賞の有力候補として高く評価されていることが素晴らしいと思 います。
皆さんは未来大学で情報を学びました。情報で社会をデザインすることを学びました。
皆さんはメタ学習を学びました。振り返り、他者との協同を通じて、自律的に継続的に学び続けることを学びました。
それらの学びが皆さんの力となっています。
その力を基礎として, 明日からは未来大学の卒業生として、誇りを持って、そして、常に世界を念頭において進んで行ってください。
2001年宇宙の旅で著名なSF作家Arthur C. Clarkeは未来に関する三法則を提唱しています。
ひとつだけ紹介します。
「 可能性の限界を知るためには少しだけ不可能の領域に踏み込む必要 がある。」
可能性を追求する皆さんのチャレンジと成功を期待します。
卒業おめでとうございます。
2022年3月22日
公立大学法人 公立はこだて未来大学 理事長・学長
片桐 恭弘