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2022-04-28

令和4年度公立はこだて未来大学入学式 理事長学長式辞(動画)

令和4年度公立はこだて未来大学 理事長・学長式辞(8分間)

 

新入生のみなさん、公立はこだて未来大学へようこそ。
歓迎と、そしてお祝いを申し上げます。
保護者・ご家族の皆様にも心からお祝いを申し上げます。

新入生のみなさんには、今日から大学生としての生活が始まります。 社会へ出る一歩手前です。
これまでの学びは、先人たちが作り出してきた知識を、先生から教わり、
吸収する、自分の中に取り込むという、外から内へ向けた学びでした。
一方、社会へ出てその一員となると、新しい価値を生み出すことによって
社会に貢献するという、内から外へ向けた生産・創造が期待されます。
大学の学びはこの二つの向きの相対する活動のハザマにあります。
みなさんが転換を起こすフェーズと位置付けられます。

未来大学の学びの特長を三つお話しします。

第一は「情報」です。
未来大学は情報科学の大学です。みなさんは情報科学を学びます。
情報科学はスマホやインターネットやロボットを作り出す情報技術だけにとどまりません。
情報科学の根幹は「情報で社会をデザインする」です。
情報は現代社会のあらゆる側面に入り込んでいます。
生産、流通、エネルギー、金融、e-コマースなど、今や情報抜きには生活は成り立ちません。
コロナウィルス感染症のために大学のオンライン授業や企業の在宅勤務も定着しました。

たくさんのデータを集めて賢い意思決定へと結びつける、
複雑なシステムをデザインする、新しいサービスを実現する、
環境を保全し、快適で安全な生活を実現する、
プライバシーを守り、民主主義を育む、
社会全体を見渡したデザインが重要になっています。

二番目は、函館というフィールドです。
道南には縄文時代から人々が住んでいたことを示す遺跡があります。
幕末から明治にかけて函館はいち早く港を開き外国との交流を始めて、
外に開かれた街づくりをしてきたという歴史もあります。
そのような歴史と美しい風景が大勢の人々を惹きつける観光都市となっています。
その一方で、高齢化・少子化・人口減少の課題も抱えています。
未来大学は、魅力的な歴史と可能性と課題を持つこの函館の街を
情報によって社会をデザインするという研究・教育活動のフィールドとしています。
皆さんもこれから函館をフィールドとした社会デザインに触れる機会がたくさんあるでしょう。

特長の三番目は、この開放的なキャンパス環境です。
未来大学は「オープンスペース・オープンマインド」をスローガンとしています。
この開放的な空間が、自由で自発的な学びの環境となります。
その下で、自分の学びを振り返ってみる、協力して問題解決に取り組むなど、
アクティブな学びのための仕掛けが用意されています。

このような特長のある未来大学で、
これから大学生活を始めるみなさんにお願いがあります。
この学びの転換の間に、自らの心の中に火を灯してください。
燃え盛る激しい火である必要はありません。
静かで小さくとも持続する火です。
自分の行く先を照らすと同時に、先へ進む力となるような火です。
誰かが灯してくれるわけではありません。
あくまで自分自身で自分の中に火を灯す、
これを心にとめて、実りある、そして楽しい大学生活を過ごしてください。

このお願いを持って私からみなさんへの歓迎の言葉といたします。

2022年4月6日
公立大学法人 公立はこだて未来大学 理事長・学長
片桐 恭弘