研究内容
自然現象の中で秩序構造(パターン)がどのように現れるのかを理論的に研究しています。特に、ソフトマテリアルと呼ばれる、ゼリーなどの高分子やテレビに使われている液晶などの物質あるいは生物細胞が、どのようにきれいな構造を作ったり壊したりするのかを数理的に解析しています。これらの現象は複雑ですが、機械学習を利用することで数理モデルを推定する研究を行っています。
研究の魅力
自然界には不思議な現象がたくさん存在します。その中の小さな一つのことを理解するだけでも、これまで誰も知らなかった新しい知見が得られます。自然現象は一見複雑ですが、時に非常にシンプルに理解することができます。一つのことを数理的に理解することによって、これまで別物だったことが同じように理解できることに気づくようになります。これらの経験は研究でなければ得られないことだと思います。
実績
高分子やコロイドの自己組織化現象について、目的の構造を実現するための支配方程式を推定する機械学習手法を提案した。また、細胞分裂に関わるたんぱく質濃度の非線形波、自発的に運動する液滴の数理モデル、細胞骨格に見られる周期構造の数理モデルなどを構築し解析を行ってきている。
主な著作・論文
- Natsuhiko Yoshinaga and Satoru Tokuda, “Bayesian Modelling of Pattern Formation from One Snapshot of Pattern”, Physical Review E, 106, 065301 (2022)
- Uyen Tu Lieu and Natsuhiko Yoshinaga, “Inverse design of two-dimensional structure by self-assembly of patchy particles”, Journal of Chemical Physics, 156, 054901 (2022)
- Shunshi Kohyama, Natsuhiko Yoshinaga, Miho Yanagisawa, Kei Fujiwara, Nobuhide Doi, “Cell-sized confinement controls generation and stability of a protein wave for spatiotemporal regulation in cells”, eLife, 8, e44591 (2019)
- Natsuhiko Yoshinaga, Tanniemola B. Liverpool, “Hydrodynamic interactions in dense active suspensions:from polar order to dynamical clusters”, Physical Review E Rapid Communications, 96, 020603(R) (2017)
- Natsuhiko Yoshinaga, “Spontaneous motion and deformation of a self-propelled droplet”, Physical Review E, 89, 012913 (2014)
- Natsuhiko Yoshinaga, Jean-Francois Joanny, Jacques Prost and Pilippe Marcq, “Polarity patterns of stress fibers”, Physical Review Letters, 105, 238103 (2010)