高度ICT(Information and Communication Technology、高度な情報通信技術)コースは、情報システムコースの3年次において2年間の大学院(博士前期課程)進学を前提に選ぶ、大学生活を6年一貫でとらえたコースです。
ICTの基礎知識やプログラミング能力に加え、さらにレベルの高い思考・表現能力、システム構築能力、プロジェクト指揮能力を磨き、産業界で求められている実践的なスキルを身につけます。第一線の企業から技術者派遣の支援も受けて、高度なソフトウェアシステムのデザイン・設計・精密な実装技能を持つ人材を育成します。
コースの特徴
- 大学院への進学を前提とした、学部・大学院一貫の6年のコースで、3年次に選択します。
- ICTの基礎知識やプログラミング能力に加え、更に思考・表現能力、システム構築能力、プロジェクト指揮能力を身につけます。
- 企業から技術者派遣の支援を受けて、世界を支える開発技術のノウハウを学びます。
卒業生インタビュー
コース長のメッセージ
みなさんへ
ICTは今や日々の生活や産業活動を支える社会インフラです。一方、我が国は少子高齢化、日々変化するグローバル・ビジネスへの対応など社会的な課題が山積しています。これらの社会的課題の解決や課題を解決するためには、ICTを活用して企業、自治体、国などの組織を超えた取り組みができる高度ICT人材が不可欠です。この高度ICT人材育成に対して、従来からの個別の技術教育とは別に、複合的な技術の使用や実践的な技術の習得、チームによる作業の学習のためのPBL(Project Based Learning)という形式での取り組みが進んでいます。
公立はこだて未来大学では、他の大学に先んじて2002年から「システム情報科学実習(プロジェクト学習)」のなかで、産学連携による実践的教育に取り組み、2007年より企業の寄附金に基づく寄附講座を開始し、実践的ICT人材の育成を推進しています。寄附講座では、企業からの講師派遣によるシステム開発に関わる講義とPBLによるシステム開発を単位のない課外活動として実施しました。この寄附講座の活動は2010年度に時限を迎えましたが、実践的高度ICT人材の育成を目標に新設された学部・大学院6年間一貫教育の「高度ICTコース」へ発展的に移行しました。
2010年度にスタートした高度ICTコースでは、これまでの実践的な教育経験を礎にサポート企業の他産業界、官公庁、近隣自治体等の外部組織と連携した教育体制、システム開発演習を通して、実践的な高度ICT人材育成に取り組んでいきます。
カリキュラム
カリキュラムについて
- 各学年で座学とPBLの両方に取り組みます。
- 各科目では、大学教員と産業界の専門家による教育を導入します。
- 学内・学外の発表会やワークショップ、サポート企業との合宿や交流会を取り入れたユニークなカリキュラムを構成します。
スペシャリスト修了要件
大学院修了時に以下の要件を満たした場合、高度ICTコース修了書を授与する。
- 大学院高度ICT領域修了単位の取得
- TOEIC500点以上の取得
- 情報処理技術者試験(応用情報技術者以上)合格
- 高度ICT演習への4年以上の参加
学部科目
- オペレーションズリサーチ
- ソフトウェア設計論I
- オペレーティングシステム
- システムプログラミング
- プロジェクトマネージメント
- IT・ビジネススキル
- ソフトウェアプロセスと品質
- データベース工学
- ハードウェア設計
- 技術者倫理
- モデル化と要求開発
- ヒューマンインターフェース
- ITアーキテクチャ概論
- 高度ICT演習(PBL)
- 認知心理学
- ソフトウェア設計論II
- 情報ネットワーク
大学院科目
- ICTデザイン通論
- オープン技術特論
- ITアーキテクチャ特論
- 組込システム特論
- サービスマネジメント特論
- 高度ICT演習(PBL)
サポート企業の紹介
サポートいただいている企業(敬称略)
- 株式会社エスイーシー
- 株式会社ジャパンテクニカルソフトウェア
- アイシン・ソフトウェア株式会社
- 大日本印刷株式会社
- 常磐システムエンジニアリング株式会社
- 株式会社メドレー
- 株式会社ニッポンダイナミックシステムズ
- 株式会社ソフトクリエイトホールディングス
- アシアル株式会社
- 株式会社アットマークテクノ
- 株式会社クレスコ
- 株式会社クロスティホールディングス
- 国際ソフトウェア株式会社
- Sansan株式会社
- 株式会社サイバーエージェント
- ソニーデジタルネットワークアプリケーションズ株式会社
- 日鉄ソリューションズ株式会社
- 日鉄ソリューションズ北海道株式会社
- 日鉄日立システムソリューションズ株式会社
- 日本ビジネスシステムズ株式会社
- Pandrbox
高度ICT演習について
高度ICT演習では
実社会の課題やニーズを理解し、適切な情報システムによって問題解決につなげるための、提案から実装までの演習を行います。
学部生・大学院生を交えたコース横断プロジェクトチームでの相互スキルアップを図ります。
2024年度テーマ紹介
Fun-i-Con
本チームは、建設業界のDX推進を目的として活動しています。(株)クロスティホールディングス様と協力し、実際の現場で起こる課題に取り組んでいます。今年度は、壁紙選びの問題点に注目し、壁紙推薦アプリを開発しています。この問題点としては、ユーザが1万種類以上の壁紙から適切なものを選ぶのが困難であることが挙げられます。また、販売員側も全ての壁紙を掌握することが難しいという課題があります。これに対処するため、簡単な質問に回答するだけでおすすめの壁紙を表示するアプリを開発しています。
ばすうぃふと
現在あるバス検索アプリ、バスロケーションアプリには、利点・欠点があると考え、本プロジェクトでは、それらの利点をうまく取り入れた、函館市のバスの利用をサポートするためのバス検索アプリの開発を行っています。バス検索はもちろん、乗りたいバスがどこを走行しているのかの表示も行う予定です。さらに、函館市のバスの情報のみに絞ったり、使いやすい画面のデザインとなるような工夫も行っています。アプリ内で使用するデータは、函館バス様から提供していただいています。
Funcy
未来大では日々さまざまな活動が行われ、新たな作品や実績が生み出されています。しかし、現状としては、これらの素晴らしい活動や作品は学内・学外問わず他の人に知られにくい環境となっています。このような現状を踏まえ,、本プロジェクトでは学生向けのポートフォリオサービス「Funport」の開発に取り組んでいます。今年度はWebプラットフォームでのリリースを目指し、活動を行っています。リリース後は学生からのフィードバックをもとにした、機能の改善・新機能の追加を行う予定です。
おさかな日和
おさかな日和では、「北海道の魚介類の魅力を伝える」ことを目指して日々活動しています。北海道は豊かな海の幸に溢れています。私たちはその魅力をもっと伝えたいと考え、今年度はマップ機能を搭載したアプリを開発予定です。このアプリを通じて、北海道の魚介類の魅力を広めることを目指します。また、函館まちかど水族館プロジェクトと連携し、観光と海洋教育を結びつけた新たなアプローチで、地域の海洋資源の重要性を発信するアプリ開発にも着手しています。
はこだてSweets
本プロジェクトの目的は、歴史ある函館スイーツの消費拡大です。その目的を達成するために、函館スイーツの魅力を伝えるためのアプリ「あまはこ」の開発を軸に活動しています。開発の過程では、函館スイーツ推進協議会や函館市経済部の方々と意見交換や打ち合わせを重ねることで、地域の方々の声を取り入れ、アプリをより良いものにしています。今年度は、函館スイーツの新規開拓をサポートする新たなWebアプリケーションの作成に取り組んでいます.
はこんだて
本プロジェクトでは,モバイルアプリ「はこんだて」の開発と運用を行なっています.はこんだては,オープンデータを活用して学校給食と家庭を繋ぐことをコンセプトに作られたアプリです.函館市役所保健給食課の方々や,小中学校の栄養教諭の方々の協力のもと開発を行なっており,身近で便利な献立表や,函館市で人気の給食レシピ,各食材の詳細な栄養素などを掲載しています.今年度は,新しく対応していただける学校が増えたので,そちらからの要望があった機能の開発を進めています.
未来大生向けオンライン交流プラットフォームの実現
近年,大学や様々な組織で対面での活動が再開するようになってきた.しかし,オンラインでの活動では遠隔地からの容易な参加や議論の録画・録音が容易であるなど様々なメリットが存在する.
本チームではビデオ通話技術と未来大を模した空間表現を用いて,オンラインでも未来大の Open space, Open mind を体現した環境を提供することで,オンライン上での未来大を再現した環境の提供により未来大生のより良い学生生活実現することを目的として活動する.
Quiz Maker
本プロジェクトでは、ノーコードで誰でも簡単にクイズゲームを作れるようなソフトウェア「QuizAtive」の開発に取り組んでいます。機能としては、Scratchの様なビジュアルプログラミング方式で誰でも簡単に制作することが出来るようにし、〇×ゲームや選択問題等の様々なクイズジャンルを設ける予定です。このソフトウェアのβ版が完成次第、江差郷土資料館にてQuizAtiveを用いて制作したクイズゲームを展示する予定です。
Dotto
本プロジェクトでは、未来大生を支援するモバイルアプリ「Dotto」の開発・運用を行っています。Dottoは、未来大に関する分散していて見つけにくい情報や取得しにくい情報をまとめることで、学生生活を支援することを目的としています。昨年度に、iOSと Androidの両プラットフォームでリリース済みです。前期ではアプリ開発の基礎を学び、後期から未来大生にとってニーズの高い機能を優先して開発しています。また、開発する楽しさを知ることにも重点を置いているため新たな挑戦も進んで行っていきます。
年間スケジュール
4月 | 高度ICT成果発表展 開講ガイダンス 初回オリエンテーション |
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7月 | 高度ICT演習お悩みざっそう会 |
8月 | オープンキャンパス 前期成果発表会 |
11月 | アカデミックリンク |
1月 | 後期成果発表会 |
2月 | 課外成果発表会in秋葉原 |
卒業研究テーマ例
- 防災教育教材の評価指標に関する調査・提案
- ペアプログラミング利用時の学習状況把握支援
- 加速度センサーを用いたブレ軽減のための映像撮影補助システム
- MIDI キーボードを用いた相対音感トレーニングシステム
- 知識ベース型推薦を用いたフードツーリズムのための旬と地元食材を考慮した飲食店推薦
- 異種 WebAssembly ランタイム間のライブマイグレーション機構
- WebAssemblyサンドボックスを用いた超軽量コンテナの実現
- ブラウザキャッシュを活用したP2P 型 Web アーカイブ機構
- 観光スポットと移動経路に対する嗜好を考慮した観光ルート推薦システムの構築
- gRPC 通信に対する Low-rate DoS 攻撃の研究
- 編集履歴にもとづいたイラストデータの透過的圧縮機構
- ユーザーの行動特徴を用いた早期サービス課題の検出に関する提案
- 雰囲気推定を用いた作業通話マッチング支援システムの構築
- 異種パズル操作の時系列データ分析
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