2016年度グッドデザイン賞にて、本学大学院修了生の本多達也さん(富士通(株)勤務)の開発する音知覚装置 [髪の毛で音を感じる新しいユーザインタフェース「Ontenna」]がグッドデザインBEST100および特別賞[未来づくり]を受賞しました。
審査委員評価
“一般的に広まっていると思われる、障害者は健常者よりも知覚・認知能力が劣っているという不当なバイアスを覆すようなプロダクト思想、それを支える長年の研究開発の実績、そしてその「髪に装着する振動デバイス」というインターフェースデザインのクオリティを高く評価した。今後、障害者の知覚・認知能力はOntennaのような技術によって拡張され、その恩恵を健常者が受けるような時代が到来することを予感させてくれる点において、今年の「未来づくり」というテーマを最も本質的に体現しているといっても過言ではない。今後、Ontennaを介したユーザーの知覚体験、そしてユーザー同士のコミュニケーションのツールとしても発展されることに期待したい。”
本多さんをOntenna開発に向かわせたのは、大学時代の「出会いと学び」。
未来大の学園祭に来訪した、ろう者の方にたまたま出会ったことがきっかけとなり、自身も手話の勉強を始め、手話通訳ボランティアや手話サークルの立ち上げ、NPOの設立などをろう者の方々と共に経験します。その協働、共感の中から、ろう者の方々をサポートするデバイスを構想するようになりました。
そんな本多さんの構想を実現に向け後押ししたのは、デザイン・知覚・プログラミング・インタフェースなど、科学とデザインが融合する未来大の学び、3Dプリンタなど大学の設備や機器、そしてさまざまな専門的見地からアドバイスをくれる未来大の教授陣でした。
固めたコンセプトは「ネコのヒゲが空気の流れを感じるように、髪の毛で音を感じることのできる装置」。
本多さんは、2012年学部4年生のときに岡本教授の研究室でOntennaの開発をスタートさせ、更に未来大大学院に進学し、この研究を深化させてきました。
富士通入社後の現在は、マーケティング戦略本部 エクスペリエンスデザイン部Ontennaプロジェクトリーダーとして、製品化に向け、更なる実験や検証を行っています。
なお、本多さんは2017年4月、フォーブス誌が選ぶ「30アンダー30」アジア版において「30歳未満の重要人物」として選出されています。