世界有数の経済誌であるフォーブス(Forbes)が公開した「30アンダー30」アジア版において、本学大学院修了生の本多達也さん(富士通(株)勤務)が選出されました。
「30アンダー30」はスポーツからEコマースまで、10分野における「30歳未満の重要人物」を30名選出するもので、このうち「インダストリー&マニュファクチャリング」分野において本多さんが選ばれました。
選出対象となったのは、本多さんが手がける聴覚障害者向けデバイス「Ontenna(オンテナ)」。ヘアピンのように髪の毛に装着するアクセサリで、音圧を振動や光に変換し、音のリズムやパターン、大きさを利用者に伝えます。楽器の音や動物の鳴き声、携帯電話の着信といった音の変化を知覚できるようになり、日常生活を支えるデバイスです。
開発のきっかけは、未来大の学園祭でのろう者と出会いでした。
「構内で道に迷っていたので、身振り手振りで案内したんです。それをきっかけにろう者支援のNPO法人に加入し、手話を勉強するようになり、ろう者と一緒に様々な活動をしてきました。そのなかで音の聞こえない不便さを知り、彼らに音を届けたいと思うようになりました。」
このNPO法人での活動と、大学での情報工学やヒューマンインタフェースなどの学習を結びつけ「ICTによる身体と感覚の拡張」をテーマに研究、2012年学部4年のときに岡本教授の研究室でOntennaの開発をスタートさせます。その後、未来大大学院に進学し研究を更に深化させていきました。
「ヘアアクセサリで音を感じる」という実用性とファッション性を兼ね備えたこの新しいユーザインタフェースは各所で評価され、本多さんは、2013年に日本デザイン学会秋季企画大会学生プロポジション展覧会にて2賞を受賞、2014年にはIPA(情報処理推進機構)「未踏スーパークリエータ」に選ばれました。
富士通入社後の現在は、マーケティング戦略本部 エクスペリエンスデザイン部Ontennaプロジェクトリーダーとして、プロジェクトメンバーと共にろう学校などで試験導入を行いながら、製品化に向け更なる開発を進めています。
試着したろう者からは「電話とメールの音の違いがわかるようになった」「掃除機のコードがコンセントから抜けたことに気づけた」「車が近づいてくるのがわかった」など、嬉しいレビューがたくさん寄せられたといいます。
今回の選出を受けた本多さんのコメントです。
「多くの学びとチャンスを与えていただいた未来大の環境に心から感謝をしています。世界中のろうの方々にOntennaを届けられるよう、これからも全力で突き進んで参ります。」