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2022-09-13

香取勇一教授らが日本神経回路学会論文賞を受賞

香取勇一教授らの論文 ”Chaos may enhance expressivity in cerebellar granular layer”(カオスは小脳顆粒層での表現力を高める可能性がある)が日本神経回路学会論文賞を受賞しました。
この論文は、神経科学とニューラルネットワーク分野において大きな影響力のあるNeural Networks誌に掲載され、2021年中に発表された多数の論文の中から論文賞として選出されました。また2022年6月30日から7月3日にかけて沖縄県で開催された国際会議NEURO2022において、本賞の授賞式が行われました。

この論文では、生体の運動制御に関わる小脳顆粒層において、ゴルジ細胞間に多数存在するギャップ結合が、カオス的なダイナミクスを引き起こすことによって,小脳顆粒層の表現力の向上に寄与することを提案しています。香取教授らは、小脳顆粒層の数理モデルを構築し、リザバー計算の枠組みでその表現能力を評価することで、拡散結合によって引き起こされるカオス的ダイナミクスが幅広い周波数成分を含む複雑な出力パターンをもたらすこと、異なる空間入力が異なる時間パターンへマッピング可能であることを示しました。
本研究の成果は、複雑な運動パターンを生成する脳の情報処理機構の理解、また次世代ロボット等の新しい制御機構の構築につながるとものとして期待されています。

この研究成果は、JSPS科研費(17K16365, 19K12235, 20H04258, 20K19882)、 JST CREST(JPMJCR17A4) 、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託業務(JPNP16007)の結果得られたものです。